4ドア・クーペ メルセデス・ベンツCLA 250に試乗 ガソリンモデルを英国で評価

公開 : 2019.09.19 09:50

新世代へと生まれ変わったメルセデス・ベンツAクラスの4ドアクーペがCLA。スポーティな走行性能と高い洗練性は、コンパクトサルーンの中でもひときわ目立つ存在だといえるでしょう。英国で評価しました。

若い層の獲得を狙った4ドアクーペ

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

2013年の発表以来、メルセデス・ベンツCLAは優雅で流麗なサルーンボディに高い洗練性と走行性能を兼ね備えてきた。様々なグレードを用意し、世界的な販売総数は75万台に達する。そんな好調を背景に、コンパクトな4ドアクーペは新世代に置き換わった。

長く緩やかにカーブを描くフロントのボンネットには、メルセデスがいうところの「パワードーム」と呼ばれる2本の峰が並び、比較的短いリアエンドとのプロポーションは美しい。今回の試乗車はAMGラインということで、クローム仕上げのドアハンドルやフロントスプリッターが付き、近年のメルセデスの特徴でもあるダイアモンド形状のフロントグリルと相まって、従来のメルセデス・ベンツの顧客層よりも若い層を狙ったエクステリアデザインとなっている。

 メルセデス・ベンツCLA 250 AMGライン・プレミアム・プラス
メルセデス・ベンツCLA 250 AMGライン・プレミアム・プラス

ターゲットに合わせて、走行性能の性格付けも少し尖ったスポーティな方向。CLAを運転すれば、思わず笑顔になってしまうことだろう。状況が許せば、満面の笑みを浮かべることも可能だ。しかしコンパクトなボディなぶん、利便性はミドルクラスのサルーンには及ばない。意図した通りだと思うが、後部座席のお偉方を満足させるサルーンというわけではないのだ。

プロポーションがぐっと良くなったCLAだが、先代と比較してフロントレッドは63mm、リアトレッドは55mm先代よりも広くなり、全長は48mm伸びている。アピアランスがスポーティになっただけでなく、特にコーナリング性能はしっかり向上している。

エンジンは2.0Lの直列4気筒ターボで、250の場合は227psを発生。0-100km/h加速は6.3秒でこなすが、静かだから、その数字以上に速く感じられる。スポーツモードを選択するとエンジン音も大きくなるが、車内の防音性に優れ、サウンドだけが余計に加速していくような感覚はない。

ホットハッチのようにコーナリングを楽しめる

7速デュアルクラッチATの変速も、ミッション任せでもパドルを弾いてマニュアルで操作しても滑らか。エンジンの回転数を上げていくと、案外早く息苦しさを感じられるようになるが、免許の点数が心配なドライバーにとっては、大幅なスピード違反をせずに楽しめるから安心でもある。

CLAの楽しさを本当に味わいたいのなら、カーブの続く区間が良い。引き締まったサスペンションセッティングとスタビライザーがしっかりボディロールを抑え、18インチの5スポーク・アルミホイールがしっかり路面を掴み、ホットになったハッチバックのようにシャープにコーナリングしていく。ちなみにサスペンションはコイルスプリングで、フロントがマクファーソンストラット式、リアがマルチリンク式となる。

 メルセデス・ベンツCLA 250 AMGライン・プレミアム・プラス
メルセデス・ベンツCLA 250 AMGライン・プレミアム・プラス

操舵時の重さも適切で、クイックさを増してくれるダイレクトステアリング・システムも搭載し、コーナーの頂点を縫うようにクルマは向きを変えていく。2.0Lのガソリンエンジンのレスポンスも良好だから、明確にドライバーに対する訴求力は高い。

CLAの基本構造はAクラスと共通だから、ハッチバックに見慣れているひとなら、インテリア・デザインなどは既視感のあるものだと思う。ドライバーズシートの座り心地は硬めで、細身でサイドサポートも立っているため、体型によっては狭く感じられるかもしれないが、長距離でも快適性に不満を感じることはないだろう。

装備も価格相応に充実している。オートエアコン、キーレスゴー(スマートキー)、デジタルラジオ、アップル・カープレイとアンドロイド・オートに対応したスマートフォン接続機能、フロント・シートヒーターなど、期待通りの内容だといえる。安全装備やインテリジェントドライブと呼ばれる自律運転支援システムも搭載。ただしアクティブ・レーンアシストは、高速道路で穏やかに車線変更をするような場合でも、やや過剰に警告が出てしまうように感じられた。

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