ロードテスト アウディS4 ★★★★★★★★☆☆

公開 : 2019.09.28 11:50

走り ★★★★★★★★☆☆

ディーゼルへのスイッチが、ガソリンユニットの既存モデルより加速性能で劣るのではないかと心配しているなら、それは杞憂だ。この新型S4 TDIが、まったくの期待外れに終わることはない。

0-100km/hの4.8秒という公称値は、むしろ控えめな数字かもしれない。たとえ満タンで、さらにローンチコントロールを使わなかったとしても、0-97km/hの実測タイムは4.6秒をマークしている。

ガソリンユニットの既存モデルに加速性能で劣るのではないかというのは杞憂だ。新型S4 TDIが、まったくの期待外れに終わることはない。
ガソリンユニットの既存モデルに加速性能で劣るのではないかというのは杞憂だ。新型S4 TDIが、まったくの期待外れに終わることはない。    OLGUN KORDAL

しかし、それ以上に興味深いのは、2017年に354psのガソリンユニットを積むS5クーペがマークした4.9秒や、5.0Lで459psを叩き出すV8を積んだフォードマスタング・ブリットが湿潤路面で見せた5.3秒を凌ぐということだ。

もちろん、V6ディーゼルの野太く低いノイズは、ガソリンユニットのサウンドに比べれば魅力的なキャラクターなど感じられない。だが、そんな比較ではなく、このディーゼルの4WDパフォーマンスカーが発揮する、純然たる動力性能を厳密にジャッジするべきだ。

C63 Sに匹敵する71.3kg-mの最大トルクを2500~3100rpmで発生するので、中回転域でのパンチや全体的なフレキシビリティも劇的なものがある。2000rpm程度でも、強烈な加速力は存分に体感でき、3000rpmまで回転を上げれば、地平線まで引き波にさらわれるかのような勢いは不気味にさえ感じられる。

4速固定での48-113km/h加速は5.2秒で、旧S5より1秒も速い。だが、3500rpmを超えると、このクルマのスピードへの欲求は明らかに弱まる。

問題点を挙げるなら、まずは8速のトランスミッションだ。48Vシステムのマイルドハイブリッドに補助されているにもかかわらず、インプットに対するレスポンスは期待したほどではない。とりわけパートスロットルでの反応は薄く、キックダウンさせるにはスロットルペダルをしっかり踏み込む必要がある。

また、シグナルスタートで素早く、しかしコントロールされた発進を試みても、入力に対するS4のリアクションは、ほぼ二進法的だ。つまりオンかオフしかないような反応ぶりで、スムースな前進を許してはくれない。

それに比べればマシだが、やはりいらだたしく感じるのがブレーキだ。まちがいなく効くのだが、やや無感覚なところがあり、アシストが強すぎる。速度域が高ければそれほど気にならない効きはじめの唐突さも、市街地ではその繊細さの欠如が、これまたスムースな走りを妨げる要因となるのだ。

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