【ミシュラン新製品】「エナジーセイバー4」 日本設計/開発 日本市場最優先の低燃費タイヤ

公開 : 2019.12.18 18:50  更新 : 2021.10.09 23:53

日本での設計/開発へ変更

「エナジーセイバー+」で高評価があるものの、まだ足りないところがある。

それが、ウエットグリップ、低燃費性能、そして静粛性だ。この3点は、他の市場と比べると日本の消費者ニーズが特に高いことが分かったという。

ウエットグリップ対応では、新配合のコンパウンドを採用。その結果、新品時でのウエットブレーキ性能は同社製品比「距離が5.5%短く止まる」ことを実現。
ウエットグリップ対応では、新配合のコンパウンドを採用。その結果、新品時でのウエットブレーキ性能は同社製品比「距離が5.5%短く止まる」ことを実現。

日本における雨天時の事故発生割合は、非雨天時と比べて約4倍というデータがある。

また、日本では他の市場と比べてハイブリッド車の普及率が高く、今後はEV(電気自動車)や燃料電池車などの電動化も進む中、タイヤから発生するノイズがより顕著になる傾向が強い。

こうした点を加味して、これまでのフランスでの設計/開発から大きく方針を転換。

「エナジーセイバー4」は、1991年開設の日本ミシュランタイヤ太田R&Dサイト(群馬県太田市)で設計および開発を行った。

ミシュラングループ研究開発部門は、フランス、アメリカ、日本総勢約6000人で、そのうち日本は約300人(うち研究者は約200人)。

「長期的な基礎研究は日本とフランスで、また静粛性やノイズ解析は日本が主体」(同サイト関係者)という。

今回、ウエットグリップ対応では、新配合のコンパウンドを採用。その結果、新品時でのウエットブレーキ性能は同社製品比「距離が5.5%短く止まる」ことを実現。

また、パターンノイズ低減には縦溝幅の最適化して、ノイズは5%低減。ロードノイズ対策ではアンダートレッドラバーを用いて転がり抵抗を低減し、ノイズを9%低減することに成功した。

2020年にも日本市場向け商品登場が確定

日本で設計/開発された「エナジーセイバー4」は日本市場のほか、香港と台湾でも発売する予定だ。

生産については「アジア生産」という表現に止めており、生産国や詳しい場所は公表していない。

2020年は日本市場向けに新商品が発表される。
2020年は日本市場向けに新商品が発表される。

会見の最後に、ぺリニオ社長は、今年の感想と来年の抱負について次のように話した。

「今年は新車向けとリテール(小売り)向け、それぞれ充実した年でした」

「新車向けでは、自動車メーカーがEVやプラグインハイブリッド車などの生産が増える中、転がり抵抗などタイヤに対する要求項目が変わってきたと感じます」

「リテールでは、今年発売したクロスクライメートがユーザーに好評で販売も伸びました。来年は、日本市場向けに新商品を発表します。新車向けも含めて事業が順調に拡大することを期待しています」

日本市場を重視する、仏ミシュランの2020年の動きに注目していきたい。

記事に関わった人々

  • 桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?

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