【いったいなぜ?】首都/阪神/名古屋高速 都市高速に「追い越し車線」がない理由とは

公開 : 2019.12.30 07:20

首都/阪神/名古屋高速……。年末年始に走るかたも多いのでは? じつは都市高速に「追い越し車線」がありません。なぜ? 都市高速独特の構造に理由がありました。

そもそも都市高速とはどんな高速道路?

text:Kumiko Kato(加藤久美子)

首都高速に代表される都市高速は、都市の交通を円滑にするために作られた有料の自動車専用道路である。

都市計画法で規定されており、現在、以下6地域で供用されている。

旧道路構造令で設計された道路の合計は約95kmで、首都高速総延長(約338km)のおよそ3分の1弱。
旧道路構造令で設計された道路の合計は約95kmで、首都高速総延長(約338km)のおよそ3分の1弱。

首都高速(東京・神奈川・埼玉・千葉)1962年~
名古屋高速(愛知)1979年~
阪神高速(大阪府・京都・兵庫)1964年~
広島高速(広島)1997年~
北九州高速(福岡)1958年~
福岡高速(福岡)1980年~

利用したことがある人ならわかると思うが、都市高速はどこもだいたい道路幅が狭い。

首都高速は基本が3.25mだ。

いっぽう、東名など一般の高速道路の道路幅は基本が3.5mで、新東名など設計速度120km/hの新しい路線では3.75m、またごく一部に3.25mの道路もある。

さらにその差が大きいのは左側路肩の幅である。

高速道路の路肩は2.5~3.25m以上と十分な広さが設けられているのに対して、首都高速では現行構造令(昭和45年~)で設計された湾岸線や中央環状線などの新しい路線でも1.25m、昭和33年の旧道路構造令で設計された都心環状線や1号羽田線、2号目黒線、3号渋谷線はわずか0.5m(以上)なっている。

旧道路構造令で設計された道路の合計は約95kmで、首都高速総延長(約338km)のおよそ3分の1弱となる。

設計速度や規制速度も首都高は区間によって30km/hから10km/h刻みで設定されており、主流は50-60km/h、新しい区間は70-80km/hとなっている。

首都高には追い越し車線がない?

設計速度や規制速度に独自の規定がある都市高速だが、実はもう1つ、大きな違いがある。

それは、都市高速には「追い越し車線がない」ということだ。

一部の都市高速では便宜上、最右車線のことを「追い越しのための車線」と呼ぶこともあるそうだが、高速道路の「追越車線」(路面上に記されている表記)とは、少し意味が異なるという。
一部の都市高速では便宜上、最右車線のことを「追い越しのための車線」と呼ぶこともあるそうだが、高速道路の「追越車線」(路面上に記されている表記)とは、少し意味が異なるという。

片側2車線以上の道路では、最も右の車線は「追い越し車線」に定められている。最も左の路肩側の車線は第1車線、その右側が第2車線となるが、片側2車線なら第2車線、同3車線なら第3車線が追い越し車線になる。

追い越し車線は追越しのためだけに使われるべき車線なので、追越しを終えたら速やかに走行車線に戻らなくてはならない。

「煽られ」防止のためにもこのルールは遵守すべきである。

しかし、追い越し車線がない都市高速では、追い越し車線を走り続けることによる「車両通行帯違反」での取り締まりもない。

「速く走らなければ」というプレッシャーを感じる必要もない。

なぜ都市高速には追い越し車線がないのだろうか?

首都高湾岸線のように片側3車線あり最高速度が80km/hに設定されている路線でも設定されていない。

ちなみに、一部の都市高速では便宜上、最右車線のことを「追い越しのための車線」と呼ぶこともあるそうだが、高速道路の「追越車線」(路面上に記されている表記)とは、少し意味が異なるのだそう。

おすすめ記事