【上位グレードを忘れるほど良い】ポルシェ911カレラ 試乗 385psに不満なし

公開 : 2019.12.31 10:20

可能な限り研ぎ澄まされた動的性能

スポーツエグゾーストを装備しているから、試乗車のカレラはエンジンを回すほどに大きく吠える。筆者の好みでは、エンジンの息吹が感じられる程度のノーマルマフラーで充分だ。5000rpmからさらにガソリンを送り込めば、7500rpmのレッドゾーンめがけてスルスルと吹け上がる。

通常のカレラであっても、ドライバーが望めば充分に速い。圧倒されるほどの速さではないが、わずか0.5秒の差しかない0-100km/h加速の違いを指摘するドライバーは殆どいないだろう。

ポルシェ911カレラ
ポルシェ911カレラ

リニアなパワーデリバリーと、8速デュアルクラッチATの上質な変速フィールは称賛したくなる。シフトパドルを弾いても、AT任せでもその良さは変わらない。アクセルペダルを踏んだだけ、ベストなタイミングで、望んだ通りに1速か2速分キックダウンをしてくれる。

操縦性の秀逸さもポルシェの期待通り。クルマのあらゆる動的性能が、可能な限り研ぎ澄まされている。エンジン音の発生源を意識しなければ、重量物がリアタイヤの後ろに載っていることも気付かないかもしれない。ボンネットがとても低いから、前方視界でわかるかもしれないが。

カレラであっても、グリップ力やスタビリティは極めて高く、コーナリングは滑らか。旋回速度を高めても、ボディロールはほとんどせずに、穏やかなアンダーステアが生じる程度。ステアリングのレシオとステアリングホイールのサイズ、最小回転半径が見事に融合している。

格上の存在を忘れるほどの充足感

サーキットに持ち込み、スタビリティコントロールを緩くすれば、適切なタイミングでオーバーパワーを加えることでテールスライドも楽しめる。かつてのテールハッピーだった頃のポルシェ911とは隔世の仕上りだ。

乗り心地はしなやかながらフラット。ダンピングは適度に引き締められつつ、フロントノーズが跳ねるような素振りもない。荒れた路面を巧みに整え、うねりをなだらかに抑え込む。

ポルシェ911カレラ
ポルシェ911カレラ

最新の911カレラであっても変わらず気になる部分は、英国の路面で生じる大きなロードノイズ。数十年前から変わらない悪癖ではある。911を楽しむのなら、慣れるしかない。

飾り気のないポルシェ911でも、極めて上質なハンドリングと卓越したパワートレインを備え、主要な部分で得られる満足感は非常に高い。カレラを運転していれば、更に高価でパワフルなグレードの存在を忘れるほどに充足した時間が得られるだろう。

たとえ脳裏によぎっても、気にしなければ良いだけだ。

ポルシェ911カレラのスペック

価格:8万2793ポンド(1159万円)
全長:4519mm
全幅:1852mm
全高:1300mm
最高速度:289km/h
0-96km/h加速:4.2秒
燃費:10.0km/L
CO2排出量:206g/km
乾燥重量:1595kg
パワートレイン:水平対向6気筒2981ccツインターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:385ps/6500rpm
最大トルク:45.8kg-m/1950-5000rpm
ギアボックス:8速ツインクラッチ・オートマティック(PDK)

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