【カーシェアサービスに注力】スマートEQ フォーツーに試乗 純EVに一本化

公開 : 2020.02.02 10:20

大きな課題が17.6kWhのバッテリー

限定仕様として英国ではエディション・ワンも用意。ブラバス製の追加パーツと合わせて、艶のある赤と黒のボディトリムが身を飾る。英国政府の補助金、3500ポンド(50万円)を引いても、価格は2万3065ポンド(329万円)だから、さほど多くが英国の道を走るとは思えないが。

テスト車両が装備していたパノラミックルーフは、爽快な雰囲気を車内に与えてくれる。ブレーキのサーボが強すぎる傾向があったが、全般的にはとても気軽に都市部を走り回れるはず。

スマートEQ フォーツー(欧州仕様)
スマートEQ フォーツー(欧州仕様)

インフォテインメント・システムの仕上がりは、正直悪い。アップル・カープレイが4月から利用できるようになるから、待ちたいところ。

スマートで最も大きな課題が17.6kWhという容量のバッテリー。容量はかなり小さい部類に入り、数字が甘いNEDC値での航続距離ですら、160kmに届かない。

都市部での利用前提の小さなEVとして、かつては短い航続距離でも許されていたかもしれない。だが、同カテゴリーのスコダシティゴーの場合、より現実に近いWLTP値で257kmも走る。とても心もとない航続距離に見える。

スマートEQ フォーツーは、このカテゴリーの中で最もキビキビ走る、コンパクトな選択肢ではある。だが、4シーターのスコダ・シティゴーが備える、より実用的な航続距離と40kWという急速充電にも対応したバッテリーが、魅力的に映らない人はいないだろう。

スマートの受電容量は22kWで、104km程度の充電をするのに40分も掛かる。加えて価格差は小さい。

モビリティ・サービスで牽引できるのか

スマートというブランドを古くから支持する人にとって、リアモーター・リアドライブのスマートは、惹かれるパッケージングであるはず。最小回転半径はとても小さく、小回りも効く。

16インチ・ホイールを履く限り、英国より状態の悪いスペイン・バレンシア地方の道では、乗り心地は硬めだったが、過剰過ぎるほどではなかった。軽く動くステアリングホイールは、直感的に操れ感覚もしっかり伝わる。

スマートEQ フォーツー(欧州仕様)
スマートEQ フォーツー(欧州仕様)

2ドアのフォーツーの場合、ドアパネルが大きく、狭い駐車場では乗り降りがしにくい。4ドアのフォーフォーなら、Bピラーでドアが短く来られているから、同じ不便は感じないだろう。

総じて、個性的なデザインと小さなボディは、スマートEQ フォーツーを補完するには充分ではない。カーシェアといったモビリティ・サービスの開発に中期的に注力するという方針は、成功する可能性はある。だが、クルマの中身には、少々時代遅れ感が隠せないのだった。

スマートEQ フォーツーのスペック

価格:1万6850ポンド(240万円)
全長:2695mm
全幅:1663mm
全高:1555mm
最高速度:130km/h
0-100km/h加速:11.6秒
航続距離:146-157km(NEDC)
CO2排出量:0g/km
乾燥重量:-
パワートレイン:同期モーター
バッテリー:17.6kWh
最高出力:81ps
最大トルク:16.2kg-m
ギアボックス:シングルスピード

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