【乗り心地は魔法の絨毯のよう】プジョー208 GTラインへ試乗 1.2L 3気筒 130ps

公開 : 2020.02.06 10:20

魔法の絨毯のような、制御された浮遊感

郊外の道では、コーナリング時にフィエスタ並の自信を掴むことは難しい。充分に高い速度域で走れるし、予期せぬ路面の変化でも充分に確かなグリップ力を得られてはいる。しかし、どこかわれわれが求めている性質とは異なる。

ステアリングホイールにフィードバックのない、ゲームを楽しんでいるようだ、といえばわかりやすいだろうか。

プジョー208 ピュアテック130 GTライン(英国仕様)
プジョー208 ピュアテック130 GTライン(英国仕様)

コーナーでは姿勢制御が緩めで、速度は自然と上がらなくなる。だが、柔らかめのシャシー設定ならではの、優れた乗り心地には目を見張る。海外で208を試乗した時から改良を受けているのかもしれないが、英国の道で、減衰力不足になるような場面はなさそうだ。

リア・サスペンションは一般的なトーションビーム式。208は滑らかに舗装の剥がれや起伏をこなしていく。高速道路でも印象は変わらず、うねりを自然に処理し、感心するほどの落ち着きを備えている。

フォード・フィエスタや新しいルノー・クリオ(ルーテシア)よりも柔らかいが、まるで魔法の絨毯のように、制御された浮遊感がある。このクラスのベンチマークといえる、フォルクスワーゲン・ポロより、乗り心地では勝るといって良い。

多くのコンパクトカーの場合、聴覚的な洗練性には我慢が必要なことも多いが、208の場合は違う。エンジンやロードノイズはしっかり遮断され、110km/h程度で走っていても、車内には穏やかな風切り音が届く程度の上質さだ。

その評価を支えているのが、グループPSAの1.2L 3気筒ターボエンジン。フォード製のエコブースト・ユニットの方が個性は強いが、試乗車のピュアテック130に載る130ps仕様も悪くない。驚くほど活発なスタートダッシュを披露し、追い越し加速も余裕の柔軟性を持ち合わせている。

高価格帯のライバルに負けない内容

むしろユーザーの中には、ピュアテック100の100ps版でも充分だと感じる人もいるだろう。加えて100ps版の場合、英国では6速MTを選択できるのも魅力の1つとなる。

ピュアテック130の場合、8速ATのみの設定となってしまう。決して相性が悪いわけではないが、まれに意思疎通がうまくいかない時がある。

プジョー208 ピュアテック130 GTライン(英国仕様)
プジョー208 ピュアテック130 GTライン(英国仕様)

燃費も良好で、試乗車では18.3km/Lに届くこともあった。高速道路を中心で走行した場合では、16.9km/L程度を表示していた。

このピュアテック130に、スポーティな外装となるトップグレードのGTラインを選び、10.0インチのインフォテインメント・モニター装備すると、英国価格は2万3350ポンド(333万円)。ベースグレードの価格は1万6250ポンド(232万円)だから、かなりの増額だ。

価格的にはアウディA1やミニと並び、パリ生まれのライオンとしては少々分が悪いかもしれない。だが208は、華のあるデザインをまとい、乗り心地にも優れ、運転は楽しい。広いわけではないがインテリアの訴求力も高く、内容は充分にライバルに負けないモノを持っている。

少しの時間は必要かもしれないが、上々なプジョーの支持は、高まっていくと思う。

プジョー208 ピュアテック130 GTラインのスペック

価格:2万3350ポンド(333万円)
全長:4055mm
全幅:1745mm
全高:1430mm
最高速度:207km/h
0-100km/h加速:8.7秒
燃費:16.2-18.3km/L(WLTP複合)
CO2排出量:103g/km
乾燥重量:1090kg
パワートレイン:直列3気筒1199ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:130ps/5500rpm
最大トルク:23.4kg-m/1750rpm
ギアボックス:8速オートマティック

関連テーマ

おすすめ記事

 
最新試乗記

プジョー 208の人気画像