【PHEVのクロスオーバーで300ps】ボクソール(オペル)・グランドランドXに試乗

公開 : 2020.03.12 10:20

プラグイン・ハイブリッドを搭載した新型SUVのグランドランドX。ドライバーズカーとしての力は少々足りなくても、経済性や発表のタイミングなどが人気の支えとなりそうです。日本導入も予定される新型を、英国で評価しました。

もくじ

トップグレードは5万ポンド(715万円)
システム総合での最高出力は300ps
ドライビングの第一印象は良好
不満もあるが、路面を問わず快適な走り
条件が合えば30km/Lの燃費も
ボクソール(オペル)・グランドランドX ハイブリッド4のスペック

トップグレードは5万ポンド(715万円)

text:Matt Saunders(マット・ソーンダース)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
新しいボクソール(オペル)・グランドランドX ハイブリッド4は、現在の自動車を取り巻く混迷した現状を端的に表現しているように思う。

ボクソール(オペル)といえば、以前から価格価値に優れた自動車ブランドだった。そこから生まれたSUVとなれば、ハッチバックより広い車内空間を想像するかもしれないが、実はそうでもない。

ボクソール(オペル)・グランドランドX ハイブリッド4(英国仕様)
ボクソール(オペル)・グランドランドX ハイブリッド4(英国仕様)

もし価格が2万5000ポンド(357万円)程度なら、合理的に納得できる可能性はある。だが、今回試乗した最上級グレードの場合、ショールームで掲げられるプライスタグは、ほぼ5万ポンド(715万円)。なかなかな金額だ。

少なくとも、ボディの見た目はボクソール(オペル)っぽくはない。英国の場合、税制面での経済性も悪くはない。

新時代の到来とともに、会社からの貸与車両に選ばれる可能性は高いといえる。英国では日本の社宅のように、クルマが社員へ支給されるケースが少なくないのだ。

英国の場合、2020年以降は税制体型が変わり、電動化技術を搭載しない会社貸与車両の維持費は高額になる。ディーゼルエンジンを搭載した日産キャシュカイ(旧デュアリス)より、グランドランドX ハイブリッド4の方が、毎月かかる税金は安い計算。

ちゃんと会社の貸与車両用として、ビジネス・エディションという廉価グレードも用意されている。競合するプラグイン・ハイブリッドのSUV、三菱アウトランダーPHEVやBMW X1、ボルボXC40などよりも安価に設定されている。

システム総合での最高出力は300ps

個人で選ぶ人は少なくても、企業の貸与車両を管理する人間なら、グランドランドX ハイブリッド4を選びたくなるだろう。その場合、1.6Lのターボガソリンに2基の電気モーターが組み合わされたモデルとなる。中身的には、プジョー3008やDS7クロスバックの姉妹車だ。

システム総合での最高出力は300ps、最大トルクは52.8kg-mと充分にたくましい。プラグイン・ハイブリッドのSUVと比べた場合、相対的な動力性能でみればアドバンテージがあるほど。

ボクソール(オペル)・グランドランドX ハイブリッド4(英国仕様)
ボクソール(オペル)・グランドランドX ハイブリッド4(英国仕様)

13.2kWhのバッテリーが搭載され、EVモードで走行可能な距離はWLTP値で56km。それでいて0-100km/h加速は5.9秒。少なくともスペック上は、驚くほどの運動神経と経済性を持ち合わせている。

筆者のように、クルマを平日は仕事で長距離移動の手段として利用し、週末は離れた郊外で家族と過ごすための乗り物と考えているなら、グランドランドX ハイブリッド4は期待通りとは感じないかもしれない。ボクソール(オペル)は、筆者の考えを改める必要がある、と話すだろうけれど。

もっとも、英国が進める二酸化炭素排出量に応じた税制システムは、的を得ていない。会社の貸与車両をPHEV化させるべく税率を変更しているが、技術的には長距離走行には適したシステムではないためだ。

小さな家族が持つセカンドカーの方が、走行条件的にはPHEV化には適している。だが、今の税制内容は、その推進には不十分だ。

英国のように長距離を日常的に走る人にとって、PHEVよりもディーゼルエンジンの方が燃費では優れている。現状に合わない税制を施行していくことは、ややもすれば地球温暖化を抑制するのではなく、促進してしまう可能性もある。

関連テーマ

 
最新試乗記

人気記事