【上品なSUV 内装はなぜ白?】ボルボXC90のマイチェン版と、DS 7クロスバックの追加モデルで判明

公開 : 2020.03.22 08:50  更新 : 2022.04.23 12:04

【試乗】改良新型XC90/DS 7 ディーゼル比較

XC90 D5 AWDのピークトルク発生回転域が1750rpm~というのはディーゼルでは今や標準的だが、1500rpm辺りでも十分にトルクのツキが感じられ盛り上がりが早い。

7名乗車とトランクをも考慮してか、ゼロ発進でローギアードの唸りをやや感じるが、約2.1tのマスを感じさせない転がり出しは、お見事だ。ちなみに足元は22インチの巨大ホイールに、ボルボ専用チューンの35扁平のピレリという超カリフォルニアン・スペック。

エアサスを搭載しているため、ドライブモードに応じて-20mm〜+40mmの範囲で車高調整が可能。エントリー時は-40mm、荷積み時は-50mmに調節できる。
エアサスを搭載しているため、ドライブモードに応じて-20mm〜+40mmの範囲で車高調整が可能。エントリー時は-40mm、荷積み時は-50mmに調節できる。

エアサスを通常モード(コンフォート)で走り出したが、地面を舐めるように軽快で、乗り心地にゴツンとかドシンといった角がない。あまつさえ、このままワインディングに入っても、正確なハンドリングと回頭感のよさで、2.1tもの巨体が向こうから手のひらに自然に収まってくるような、心地よさがある。

走行モードをスポーツに変えれば、操作類のレスポンスと足の動きが一段、引き締められるが、ライド感の固さを感じる局面はついぞなかった。唯一難癖つけるとすれば、エコ・モードのレスポンスがワインディングで眠い程度だ。

熟成されたしなやかな脚といい、人によく慣れた大型動物、そんな印象が残った。

動的質感も、瑞・仏で異なる世界

対するDS 7クロスバックの方は、既存モデルにはオプションでしか選べなかった19インチホイール履きで、期待は高まる。

さすが体躯がふた回りも小さいだけあり、1.7tほどのDS 7クロスバックはハンドリングの軽快感で優る。コンフォート・モードでONになるアクティブスキャン・サスも、効能は確かにあって、フラットな乗り心地はクラスレスでさえある。

古典的なフランス車を想わせる足と、トルク豊かなパワートレインがマッチした走りは独特な味わい。
古典的なフランス車を想わせる足と、トルク豊かなパワートレインがマッチした走りは独特な味わい。

加えて粘っこいロードホールディングと、しっとりしたステアリングの感触は、フランス車の古典を巧みに解釈している。ただし40.8kg-mのFFパワートレインゆえ、トルク感の分厚さや加速に移るレスポンスでは、怪力AWDであるXC90に1.5歩ほど譲らざるを得ない。

そこと素材感はやはり、車格と価格の差が反映されているところなのだ。

ただDS 7クロスバックが意地を見せたのは高速道路上。ステアリングコラム脇の物理的スイッチを押し、レーンキープアシストON。この状態でACCを効かせると車線に対して自車位置を記憶するので、ピンボール現象のないレベル2の「怖くない」使いやすさで際立っていた。

記事に関わった人々

  • 前田惠介

    Keisuke Maeda

    1962年生まれ。はじめて買ったクルマは、ジムニーSJ30F。自動車メーカーのカタログを撮影する会社に5年間勤務。スタジオ撮影のノウハウを会得後独立。自動車関連の撮影のほか、現在、湘南で地元密着型の写真館を営業中。今の愛車はスズキ・ジムニー(JB23)
  • 南陽一浩

    Kazuhiro Nanyo

    1971年生まれ。慶応義塾大学文学部卒業。ネコ・パブリッシングを経てフリーに。2001年渡仏。ランス・シャンパーニュ・アルデンヌ大学で修士号取得。2005年パリに移る。おもに自動車やファッション/旅や食/美術関連で日仏独の雑誌に寄稿。2台のルノー5と505、エグザンティア等を乗り継ぎ、2014年に帰国。愛車はC5世代のA6。AJAJ会員。

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