【フラット4なポルシェたち】ポルシェ912と914、912E 見直される価値 前編

公開 : 2020.06.14 07:20  更新 : 2020.12.08 11:04

同時期の911と見分けが付かない

ポルシェ914は、912が製造終了を迎えた1969年に入れ替わるように登場。1975年まで製造されている。そして912Eは、北米へポルシェ924が導入されるまでのわずかな期間、アメリカに投入された。

もちろんフォルクスワーゲンとは違う部分は、ボディのカタチ。止まった状態の912と912Eは、1973年以前のポルシェ911やカレラ3.0と、ほとんど見分けがつかない。

オレンジのポルシェ914 1.7と青のポルシェ912、マルーンのポルシェ912E
オレンジのポルシェ914 1.7と青のポルシェ912、マルーンのポルシェ912E

オーナーのジョン・マクドナルドが笑って話す。「日曜日の混んだ交差点をポルシェ912で走ると、インスタグラムに911だとハッシュタグを付けて載せる人もいるようです」

「長年フォルクスワーゲンに乗っています。初めてのクルマはビートルでした。最初に買ったポルシェは、914です。自分にとって、空冷ポルシェを選ぶ道筋だと思ったんです」

「クラシックなポルシェ911と912のスタイリングは、脳みその片隅にいつもありました。この912を手に入れるために、フォルクスワーゲンの古いバンを売っています」

イアン・リンゼイ・ワトソンを912Eへ引き寄せた理由も、このポルシェらしいフォルムにある。「北欧の探偵ドラマ、ザ・ブリッジに出てくる、オリーブグリーンのポルシェ911に強く惹かれました。この912Eを購入後、大きいエンジンも欲しいと思い、3.0Lも手に入れましたよ」

「912Eはテールが軽く、ハンドリングで優れています。911ではクラッシュするかもしれませんが、912Eなら大丈夫。わたしのお気に入りです。1970年代の、フォルクスワーゲンのスピリットも感じます」

912と914、912Eとのつながり

「多くの人は、このポルシェのことをよく知ってはいません。興味を持ったある人は、フィアットかと聞いてきたほどです」 と話すのは、1971年式914 1.7のオーナー、ジェームズ・グレイストン。

「北米市場の914の場合、ポルシェのロゴはリアデッキにだけ付いていました。欧州仕様では、ステアリングホイールにポルシェのエンブレムが入り、ハブキャップにはフォルクスワーゲンのロゴ。リアには、フォルクスワーゲンとポルシェのロゴが付きます」

オレンジのポルシェ914 1.7とマルーンのポルシェ912E
オレンジのポルシェ914 1.7とマルーンのポルシェ912E

このオレンジ色の914では、フォルクスワーゲンのロゴが残っているのは唯一、ハザードランプのスイッチだけだった。この3台を比較試乗すると、912と912Eの間に生まれた、914の成り立ちが良く見えてくる。

912は車内がうるさい。1965年のAUTOCARでは、高速道路で大変だと書かれていることもうなずける。914もうるさいが、より意図的な感じがする。912Eはかなり静かだ。タルガトップなのにも関わらず。

912と914には長く細いシフトノブがセンタートンネルから生える。リンケージも長いからか、操作には少し曖昧さも感じる。その隣、フロアには無骨なヒーターレバーが付いている。

912のシフトパターンは1速が飛び出たドッグレッグ・タイプ。1速からシフトアップすると、2速ではなく4速に入りたがる。

一方の914 1.7は、1速目のストロークが長い割に、2速目は短く、ちゃんと入っているのか少し不安になる。いずれも慣れが必要だが、オーナーになれば時間の問題だろう。

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