【キャデラックがベースの奇抜なレーサー】 ル・モンスト・ロードスター 前編

公開 : 2020.08.01 07:20  更新 : 2020.12.08 08:32

オリジナルは博物館に保管される、奇抜なキャデラック・ベースのレーサーが存在します。熱狂的なファンによって復元され、2018年のル・マン・クラシックへ参戦した、モンスターと呼ばれた斬新な1台をご紹介しましょう。

もくじ

主催者にも歓迎される普通ではないマシン
奇抜なキッチンカーや移動販売車を制作
スパ6時間の完走でレースへ夢中に
シリーズ61クーペがベースのロードスター
目標は2016年のル・マン・クラシック

主催者にも歓迎される普通ではないマシン

text:Julian Balme (ジュリアン・バルメ)
photo:Will Williams(ウィル・ウイリアムズ)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
現在のル・マン・クラシックのレースグリッドに並ぶ人は、資金力豊かで、クラシック・レーサーの価値を意識した、プロたちがほとんど。デレク・ドリンクウォーターほど変わった経歴を持つ人物は、多くはないだろう。

弱肉強食というレースの世界にあって、高い競争力を示した本物のオリジナルは、数が限られてくる。シェルビー・コブラや、フォードGT40は確かに強いマシンだったが、どちらにも、お手本としたオリジナルが存在していた。

キャデラック・ル・モンスト・ロードスター・レプリカ/キャディラック・シリーズ61クーペ・レーサー・レプリカ
キャデラック・ル・モンスト・ロードスター・レプリカ/キャディラック・シリーズ61クーペ・レーサー・レプリカ

できる限り競争力のあるクルマで戦いたいと考えるのは、今も昔も変わらない。ドリンクウォーターも、熱意溢れるその1人。多くの人の共感を呼び、モンスターと呼ばれるレーシングマシンのレプリカへと結びついた。

不足はないものの、余裕溢れるほどではない予算。醜いだけでなく、競争力もソコソコ、というクルマをあえて復活させたのだ。

「ル・マン・クラシックで戦いたいと、願っていました。しかし、出場できそうなクルマはどれも高価。そこで、カニンガムが生み出したキャデラックへ目を向けたんです」 と妻のパットと笑顔を交わしながら説明する、デレク・ドリンクウォーター。

2人に共通しているのは、大型のアメリカ車に対する、強い情熱だ。「主催者にも歓迎されるような、普通ではないマシンを作りたいと思ったんです」 と妻のパットが加える。

奇抜なキッチンカーや移動販売車を制作

ドリンクウォーター夫妻は、大きな注目を集める古いビッグ・アメリカンへ、以前から人生を注いできたわけではない。長年営んできたケータリングの仕事を通じ、奇抜なキッチンカーや移動販売車を制作してきた。

その代表が、ピータービルト製の大型タンクローリーを、バーへ改造したクルマ。デレクのアイデアを具現化したものだ。「わたしの両親も、移動ケータリングに長年関わってきました。父がクルマを用意し、母が料理を提供していました」

キャデラック・ベースのレーサー・レプリカと、ドリンクウォーター夫妻
キャデラック・ベースのレーサー・レプリカと、ドリンクウォーター夫妻

「自分も14歳には溶接していましたし、トレーラーも若い頃から運転していました」 英国で毎年開かれるクラシック・スポーツカーのイベント、グッドウッド・リバイバルへは、彼が改造した消防車のハンバーガー・ショップが出店している。

同時に彼は、若い頃から熱心なスポーツマンだった。オリジナルを生み出したアメリカン人レーサー、ブリッグス・スウィフト・カニンガムのように。

ドリンクウォーターは、代表選手に選出されるほど、能力の高いボート選手だった。アメリカス・カップへの出場には至らなかったが、競技用ボートの準備を積極的に楽しんだという。自転車レースにも熱中したが、自転車自体にも強く興味を持ったそうだ。

もちろん若い頃には、クルマも楽しんだ。モータースポーツを最初に戦ったのは、ローバー製のV8エンジンを搭載したカプリでの、ドラッグレースだった。

「KMAレーシングと、自分のチームを呼んでいました。18歳の時です。場所を選ばず参戦していましたが、ずっと初戦で敗退でしたね」 デレクが振り返る。

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