【実現しなかったのもわかる?】風変わり、いや失敗作なコンセプトカー12選

公開 : 2020.08.29 18:10  更新 : 2021.03.05 21:42

ミニ・スピリチュアル

時すでに遅し。1997年のジュネーブモーターショーで「ミニ・スピリチュアル」と、より大型の「スピリチュアル・トゥー」が現れたときには、すでにその時代は終わっていた。

1990年代初頭、ローバーはミニに取って代わることを考え始めた。ミニは1959年に登場して以来、絶えずアップグレードされてきたが、コンセプトは変わっていなかった。しかし、1994年1月にBMWがブリティッシュ・エアロスペース社のローバー株を買い取り、新しい経営陣のもと、1995年には新型ミニの方向性が決定されることになった。

ミニ・スピリチュアル
ミニ・スピリチュアル

スピリチュアルとスピリチュアル・トゥーは、ローバーが持ち込んだ巧妙なアイデアだった。3ドアの小型車で、オリジナルのミニよりは短いが、フィアットプント・スーパーミニと同じくらいの室内空間を持っていた。

トゥーの方は、プントよりも短いものの、後部座席にはメルセデス・ベンツSクラスと同じくらいのスペースがあった。

ローバーは当時、フロントにエンジンを搭載したクルマは、フロントに衝撃を吸収する大きな構造物がなければ、厳しい衝突規制を満たすことはますます難しくなると考えていた。

そこでスピリチュアルでは、小型化された「K」シリーズエンジンをリアシートの下に横向きに搭載し、後輪を駆動させ、ホイールベースを大幅に広げて乗員スペースを確保することにしたのだ。

一方、BMWは全く異なるアイデアを披露した。モンテカルロ・ラリー優勝40周年でデモ走行を行った「ACV 30」というレトロなコンセプトカーである。

ローバーのスピリチュアル2台と、BMWのACV 30はジュネーブ・モーターショーで同時に発表され、1つの新型モデルに対して3台のコンセプトカーという、風変わりな展示となった。

ローバーは発表に際し、高級コンパクトカーとしてメルセデス・ベンツAクラスに対抗するモデルであることを認めている。

今のミニを見ていると、BMWが正しい判断をしたと考えるのが妥当だろう。しかし、スピリチュアルのコンセプトは、イギリスの自動車業界における「if」を象徴するモデルである。

フォルクスワーゲンUp!

フォルクスワーゲンの陽気で有能な小型車「Up!」には、スポーティーなGTIバージョン、電動モデル、そしてセアトやシュコダなどさまざまな派生型が存在する。

しかし、Up!は当初、1台の小型車としてではなく、Up!シリーズとも呼ぶべき大きなファミリーとして計画されていた。

VWスペースUp!
VWスペースUp!    VW

Up!は2007年にコンセプトカーとして発表された。注目すべきはリアエンジン・リアドライブ(RR)で、つまり非常に柔軟性の高いプラットフォームを採用していたのだ。

これを活かし、小型ミニバン(スペースUp!)やシューティングブレイク(Up!ライト)など、幅広いコンセプトファミリーが登場している。

しかし、生産コストが高すぎるという理由から、「ニュー・スモール・ファミリー」と呼ばれるフロントエンジン・フロントドライブ(FF)の従来型のモデルに切り替えた。

その後も、オフローダー「バギーUp!」や小型SUV「タイグン」など複数のコンセプトが登場するが、ビジネスケースが合わなかったため、生産には至らなかった。

これは、VWがあらゆる市場のあらゆるセグメントを征服しようと計画していたときのことだ。しかし、結局コンパクトカーでどうやってお金を稼ぐかという問題を解決することはできなかった。

2011年のスズキとの提携解消は、すべきではなかったかもしれない。

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