【人気再燃】トヨタ2000GT 北米のオークションで、落札額1億円クラスに復活 そのワケは?

公開 : 2020.10.30 07:20  更新 : 2021.10.11 09:37

相場を検証 値下がり期のオーナー心理

トヨタ2000GTはアメリカでも人気の高いモデルで、コレクターズカー・バブルの初期といえる2013年4月に開かれたRMドン・デイビス・オークションでの1億1319万円がピークとなった。

2015年頃まではコンスタントに1億円超えで落札されていたが、2016年3月のRMサザビーズ・アメリアアイランド・オークションで9092万円と下落傾向に転じる。

シャシーナンバーMF10-10100の内装。左ハンドルのアメリカ仕様だ。
シャシーナンバーMF10-10100の内装。左ハンドルのアメリカ仕様だ。    RM Sotheby’s

コレクターズカー・バブル崩壊後に開かれた2018年12月のRMサザビース・ペーターセン・オークションでは、予想を下回る5775万円まで暴落してしまった。

オークションの常で落札額が急激に上がると、その流れに乗ろうと売り物が増えてくる例が多い。逆に下げの展開になるとオーナー心理として「今売らなくてもいいや」という考えになり、物件が出てこなくなるのである。

アメリカでのトヨタ2000GTもその例にたがわず、落札額が下がってからはオークションでその姿を見かけなくなっていた。

今回は債権者への返済目的のオークションのため、オーナーの意向にかかわりなく出品されたことから陽の目を見ることになったのである。

なぜ、高額落札なのか?

このトヨタ2000GTは、2007年に徹底的なレストレーションが行われているため、現在のコンディションはパーフェクトといえた。

主催者であるRMサザビーズによる予想落札額は70〜85万ドル(約7350〜8925万円)とやや強気といえる額に。

予想落札額は約7350〜8925万円と、強気の出品だったが……。
予想落札額は約7350〜8925万円と、強気の出品だったが……。    RM Sotheby’s

それでもオークションを終えてみれば、予想落札額を超える91.25万ドル(約9582万円)で決着がついた。コロナ禍でアメリカも経済的に先行きが見通せない厳しい状況にある中で、この額は大健闘したといえよう。

高額落札された要因を考えてみると、久しく売り物件がなかったことに加え、コンディションの良さが評価されたといえる。

それとトヨタ2000GTを手に入れたいと熱望していたコレクターが多数いたことが、もう1つの理由だ。

これだけコンディションの良いものを買い逃すと、次はいつ出てくるか分からない、という不安要素にかられて入札がヒートアップしたと考えられる。

何はともあれ日本の至宝といえるトヨタ2000GTが、アメリカで正しく評価されたことは日本のクルマ好きとして喜ばしい限りだ。

記事に関わった人々

  • 上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

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