【ルノーの新世代!】新型ルーテシア試乗 最新ADASのインテンス・テックパックを評価 乗り心地、おもわず好感?

公開 : 2020.11.09 07:20  更新 : 2021.12.27 23:54

滑らか/心地よい 加速をレポート

回転を抑えた悠々たる力強さ、回転上昇に合わせた伸びやかな加速。そのどちらも備わっているのが、新型ルーテシアのパワートレインである。

昨今のターボ車では珍しくもないが、ゆったり巡航から加速への移行の滑らかさやタイミング、連続加速時の加速感の維持が、心地よいパワーコントロール感を生み出している。

ドライブモードは、「スポーツ」「エコ」「マイセンス(カスタマイズ)」を用意。パワー特性、7速DCTの変速特性、ステアリングフィール、室内環境をコントロールする。
ドライブモードは、「スポーツ」「エコ」「マイセンス(カスタマイズ)」を用意。パワー特性、7速DCTの変速特性、ステアリングフィール、室内環境をコントロールする。    前田恵介

巡航時のアクセルの踏み込み量や緩加速への移行では、最大トルク24.5kg-mに見合った余力を示す。

だからといってトルク任せに巡航ギアを維持するわけでもなく、「もう少し切れ味よく加速させるか」と思うかどうかのタイミングでダウンシフトする。

変速時の加速の断続もスムーズであり、DCTではかなりドライブフィールに気を使った制御である。

ドライブモードで「スポーツ」を選択すれば、加速時の“早めダウンシフト”に使用回転域の上昇で、さらに小気味よく扱える。

「エコ」モードでは穏やかに感じたエンジン音も、回せば程よく存在感をアピール。

パドルシフトを用いれば、性能を引き出す手応えはさらに高まる。ただし、「エコ」モード同様に荒さはなく、ヤンチャなドライブフィールを期待する向きには、ちょっと大人しく感じられるかもしれない。

乗り心地 どんな感じ?

新型ルーテシアの走りで最も感心させられたのは、乗り心地だ。

穏やかというか洗練というか、機械的な粗さがとても少ない。硬柔では量れない肌身感覚の優しさを感じた。

新型ルーテシア・インテンス・テックパックの前席内装。センターコンソールにはスマホのワイヤレスチャージャーも標準装備される。
新型ルーテシア・インテンス・テックパックの前席内装。センターコンソールにはスマホのワイヤレスチャージャーも標準装備される。    前田恵介

路面凹凸やうねりに対するサスストローク量はそれほど大きくない。同クラス平均と考えていい。

ただ、微小域から深いストロークまで安定した動き出しと収束感がある。

中でも路面の細かな凹凸の吸収がよく、いささか誇大かもしれないが、例えれば厚手のカーペットの上を歩くような感じ。ガチャ付くような振動が極めて少ない。

ルーテシアとは思えない、とは失礼が過ぎるが、ルノー新世代を実感させられた。

乗り心地に日和ったと誤解してはいけない。

ストロークやブッシュの使い方の巧みさは操安にも好影響。コンパクトカーらしい応答性を維持したまま、据わりのいいライン・コントロール性を示す。

貼り付くような接地感には乏しく、手応えを求めるドライバーには物足りないかもしれないが、街乗りから高速、山岳路まで気負わずに操れるタイプである。

「買い」か?

新型ルーテシアは、荷室の拡大など実用性も改良点の1つに挙げられているが、ファミリー&レジャー用途まで拡大するには無理がある。

適応用途からすれば新しくなったばかりのプジョー208、国産車ではヤリス辺りがコンペティターとしては有力。

新型ルーテシア・インテンス・テックパックの後席内装。
新型ルーテシア・インテンス・テックパックの後席内装。    前田恵介

もっとも、これらのクルマは嗜好的な要素、つまりはキャラとの相性が重要であり、ADASなどの次世代標準となる決定的な機能の差がなければ、個人的な好き嫌いで選ぶのが本筋とも思える。

ルーテシアの標準的なグレードとなるインテンスの価格は約260万円で、これも同様の装備を備える208とトントン。ちなみに、同予算でヤリスはハイブリッド4WDの最上級グレードが選べる。

さすがにコスパでは国産車が有利だが、嗜好的な共感で乗り越えられるくらいの価格設定だ。

ならどのようなユーザータイプが似合いか考えれば、ルノーファンはもちろん、日常からドライブまで、心地よく使える肌触りのいい乗り味を求める人に勧めたい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 撮影

    前田惠介

    Keisuke Maeda

    1962年生まれ。はじめて買ったクルマは、ジムニーSJ30F。自動車メーカーのカタログを撮影する会社に5年間勤務。スタジオ撮影のノウハウを会得後独立。自動車関連の撮影のほか、現在、湘南で地元密着型の写真館を営業中。今の愛車はスズキ・ジムニー(JB23)
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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