【“実戦向き”高性能】GRヤリス試乗 RZハイパフォーマンスの走りは? RZ/RSと乗り比べ評価

公開 : 2020.11.24 05:50

「GRヤリス」の3モデルを比較試乗レポート。272ps/6速マニュアル/4WDのRZ系、120ps/CVT/FFの「RS」を乗り比べます。専用3ドア・ボディを与えられたホットハッチの評価は?

もくじ

どんなクルマ?
4WD トルク配分に注目
RZ系のハンドリングを試す
パワートレインと動力性能
RS ヤリスとは別物
「買い」か?
GRヤリスRZハイパフォーマンス スペック
GRヤリスRS スペック

どんなクルマ?

text:Shigeo Kawashima(川島茂夫)
photo:Keisuke Maeda(前田恵介)

世界ラリー選手権(WRC)のトップカテゴリー(WRカー)への承認を受けるために開発されたモデルが、GRヤリスだ。

もちろん、WRカーはパワートレインや駆動システムも含めて大幅な設計変更が加えられるので、あくまでもベースモデルとしての開発である。

GRヤリスRZハイパフォーマンス(プラチナホワイトパールマイカ)
GRヤリスRZハイパフォーマンス(プラチナホワイトパールマイカ)    前田恵介

と言えば、WRカーとは「中身は別物」となってしまうが、WRCだけがGRヤリスの目標ではない。日本ラリー選手権のトップカテゴリーへの参戦も前提とする。

ナンバー付き車両で争う国内ラリーでは大幅改造は不可。素の戦闘力が物を言う。国内ラリーを前提にすれば正に闘うために生まれたモデルなのだ。

大きく張り出したフェンダーを備えた専用3ドア・ボディに、272psの最高出力を生み出す専用開発の3気筒1.6Lターボを搭載。

サスはストラット/ダブルウイッシュボーンを採用するがヤリス用ではなく、前後とも上級クラス用をベースにしている。4WDシステムには多板クラッチ式の電子制御カップリング(ECC)を用いる。

ただし、価格面でエントリーに位置するRSは、ヤリスと同じくNA 1.5L/CVTを搭載したFFとなっている。

ターボ車は、RZ/RZハイパフォーマンス/RCの3モデル構成。全モデルともサスチューニングを違えるなど、各モデルのキャラに最適化した設計を採用している。

4WD トルク配分に注目

RZ/RZハイパフォーマンスに標準のECCによるトルクスプリット4WDは、今や4WDの標準的システムだが、GRヤリスは違っている。

トルク配分は最大で前輪30/後輪70まで制御。

2名乗車にすれば、225/40R18サイズのタイヤ4本に加え、さらに積載スペースも確保できるトランク。
2名乗車にすれば、225/40R18サイズのタイヤ4本に加え、さらに積載スペースも確保できるトランク。    前田恵介

FFベースの4WDで後輪に多く配分するのは何とも不思議だが、その秘密は前後輪最終減速比。リアデフが約73%も速いのだ。

ECCの締結力が高まるほど後輪へのトルク配分が増加し、完全に締結する直前で後輪伝達トルク最大になる。

通常のECCとは異なり、完全締結状態にはならない。そのためカップリングとデフは容量に余裕のあるRAV4をベースとし、クラッチの枚数増加やフェーシングの変更などが加えられている。かなり斬新な設計だ。

試乗した印象では、一般的なECCの締結力を高い領域で制御しているような感じ。

RZ系のハンドリングを試す

RZハイパフォーマンス

低負荷の2WD走行時以外は、駆動系の緩みがほとんど感じられない。

とくに、前後輪ともにトルセンLSDを装備したRZハイパフォーマンスはその感が強く、減速を残したターンインから定常円、立ち上がりまで前後輪負荷が安定。

GRヤリスRZハイパフォーマンス(プラチナホワイトパールマイカ)
GRヤリスRZハイパフォーマンス(プラチナホワイトパールマイカ)    前田恵介

揺れ返しなどの不要な挙動も極めて少ない。

この傾向は、4WD制御モードのノーマル/スポーツ/トラックの順で強くなる。

軽快感は逆になるのだが、基本特性が速度制御でコーナリングラインをコントロールするタイプなので、負荷バランスの変動が抑えられた「トラック」が最も好ましく感じられた。

RZは、どんな感じ?

同じ4WDシステムを採用するRZは、サスチューンが多少マイルドになり、前後ともにオープンデフを採用。

同じモードを選択しても、RZハイパフォーマンスに比べると多少軽快な印象を覚えるが、細かな揺動が目立つ。

基本操縦特性は共通しているのだが、駆動系ダンピング感やサスの収束感が落ちている。効率的限界走行を考えると多少劣るのだが、本質を換えずに操る手応えを高めたのは現実的。

ファントゥドライブ派向けとも言える。

 

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