【ラリーウエポン5台揃い踏み】フォード・エスコート ツインカムからRSコスワースまで 前編

公開 : 2020.12.26 15:05  更新 : 2021.05.18 16:16

ロータス製ツインカムを搭載

シンプルなメカニズムに安い価格。美しいコークボトル・スタイルが際立つ存在だった。ミニなどが前輪駆動だったのに対し、後輪駆動だったという点も特徴だろう。当初からモータースポーツが視野にあり、エスコート・ツインカムの開発が進めらた。

エスコート成功の立役者こそ、ケント・ユニットにかわって搭載された、1558ccのロータス製ツインカム。プロトタイプはコンペティション部門のマネージャー、ヘンリー・テイラーと、チーム監督のビル・ミードによって作られたようだ。

フォード・エスコート・ツインカム(1968〜1971年)
フォード・エスコート・ツインカム(1968〜1971年)

生産目標台数は1000台で、1968年の初めに1台目がラインオフ。ついに、エスコート伝説の幕が開ける。

ロータス・コルチナMk1とは異なり、エスコート・ツインカムは、エンジン以外が標準のエスコートと同じヘイルウッド工場で組み立てられた。しかし、エスコート・ツインカムの製造には1.5倍の生産時間が必要だった。

理由は、特別なエンジンを搭載する工程。大きなキャブレターのクリアランスを確保するために、エンジンは斜めにボディへ取り付けられている。

1558ccのロータス製ツインカムは、コルチナに載っていたものと大きくは違わない。バルブタイミングの変更やツインチョーク・ウェーバーキャブのおかげで、4.5psほどパワーアップを果たしていた。

2000Eと呼ばれる堅牢なトランスミッションを搭載するため、センタートンネルも拡大。13インチのホイールを納めるため、ボディ周りにも手が加えられている。

5万ポンドのレストアで完璧な状態

リア・サスペンションも、コルチナのものを採用。軽量で剛性の高いエスコートのボディに手を加えることで、都合よく収まった。

エスコート・ツインカムのインテリアは、標準では1300GTと同じ。3スポークのステアリングホイールに、サポート製の良いリクライニングシートが組まれた。

フォード・エスコート・ツインカム(1968〜1971年)
フォード・エスコート・ツインカム(1968〜1971年)

5台のエスコートをコレクションするゲイリー・ボールのツインカムは、より走りに特化したグレード。モータースポーツ用の改良が、工場で追加されている。

クラブマン・ラリーカーでした。ロールケージが付いている理由です。このクルマにはツイン・ガソリンタンクも載っていて、とても珍しい。ホイールはマグネシウム製の13インチ・ミニライトです」。ボールが車内を指差しながら続ける。

「バケットシートに、彫りの深いスプリンガレックス社製のステアリングホイールも付いています。ハーネスも。新品を見つけて、取り付け直してあります」

ボールは1968年式ツインカムを、レストア途中の状態で20年前に購入。エスコートに詳しい職人によって、5万ポンドもの費用をかけてレストアしてあるという。今は、完璧なコンディションにある。

ヘッドライトは、オリジナルの長方形。1969年からは丸目に改められた。ボディに塗られたアーミン・ホワイトも、当時の色。「ツインカムらしく、とても気持ちよく走りますよ」。とボールがキーを筆者に渡しながら微笑む。テストコースでの試乗だ。

この続きは中編にて。

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