【痛車の世界】クルマのボディにアニメや漫画、ゲームなどのキャラクター 著作権や版権は大丈夫?

公開 : 2020.12.29 09:25  更新 : 2022.03.25 18:50

痛車。増えてきていると感じるかた、多いはずです。痛車とは何か? 定義を探るとともに、使用するアニメや漫画、ゲームなどキャラクターの版権に注目します。

痛車とは何か? 世界に広がる日本発

text:Kumiko Kato(加藤久美子)
editor:Taro Ueno(上野太朗)

「痛車」とはもともと、オーナーの自虐も込めて「見ていて痛々しいクルマ」というところから生まれたカスタムカテゴリーの1つである。

アニメや漫画、ゲームなどの作品に登場するキャラクターをボディに大きく貼ったものが主流だが、それ以外にもさまざまな種類がある。

「痛車」とはもともと、オーナーの自虐も込めて「見ていて痛々しいクルマ」というところから生まれたカスタムカテゴリーの1つ。キャラクターをボディに大きく貼ったものが主流だが、それ以外にもさまざまな種類がある。
「痛車」とはもともと、オーナーの自虐も込めて「見ていて痛々しいクルマ」というところから生まれたカスタムカテゴリーの1つ。キャラクターをボディに大きく貼ったものが主流だが、それ以外にもさまざまな種類がある。    加藤博人

例えば、フェンダーなど車体の一部分だけにデザインを貼る「フェンダー痛車」もあれば、「藤原とうふ店仕様のAE86トレノ」のように、作品に登場するクルマを、ほぼ完ぺきに再現する痛車もある。

アニメ「ストライクウィッチーズ」などの航空系作品では大空をイメージしたデザインや、登場する戦闘機を模したデザインなどがこれに該当する。

作品の世界観をデザインで表現するタイプの痛車である。

最近ではスーパーGTやスーパー耐久、N1耐久、世界ラリー選手権などに参戦する実際のマシンのデザインを再現し、それにキャラクターの絵を貼るという「レプリカ痛車」もクルマ好きを中心に人気を博している。

映画「ワイルド・スピード」などの人気カーアクション映画の世界観に着想を受けたスポコン風のデザインも人気だ。

なお、元々ゲームやアニメが主体で、クルマはそれほど好きではない、興味がない痛車オーナーは「いかにキャラクターを大きく貼れるか」をベースに痛車を作るケースが多い。

大きめのSUVやミニバンなど、貼る面積が広いことが第一で、スポーツカーの要素はそれほどでもないクルマを痛車にする例もある。

若者のクルマ離れを食い止める理由に

痛車は近年、10〜20代の若者がクルマに興味を持つ1つのきっかけになっていることは事実だ。

今や大勢の若者たちが愛車に乗って集う痛車イベントが全国各地で開催されており、町おこしにも一役買っている。

最近ではスーパーGTやスーパー耐久、N1耐久世界ラリー選手権などに参戦する実際のマシンのデザインを再現し、それにキャラクターの絵を貼るという「レプリカ痛車」もクルマ好きを中心に人気を博している。
最近ではスーパーGTやスーパー耐久、N1耐久世界ラリー選手権などに参戦する実際のマシンのデザインを再現し、それにキャラクターの絵を貼るという「レプリカ痛車」もクルマ好きを中心に人気を博している。    加藤博人

2020年9月に開催された国内最大の痛車イベント「EMTG」では、全国から展示車と観覧車で合計700台以上が参加した。

愛車とともに参加する自動車ミーティング系のイベントにおいては、10〜20代の若者層が占める割合がもっとも高いと思われる。

ちょっと古い日本製スポーツカー人気と相まって海外でも痛車の人気が高まりつつある。2019年11月の広州モーターショーにおいても、痛車の展示スペースが広く取られて日本のアニメ作品が貼られた痛車がたくさん展示されていた。

ここでふと気になるのは、痛車に使われるゲームやアニメは制作元や出版社があり、制作者が存在する場合がほとんどだ。

つまり、何かしらの「著作物」をもとにしている。

著作権、版権はどのような扱いになっているのだろうか?

もともと、個人の趣味から始まった痛車ゆえ、個人が自分でカッティングシートに印刷して愛車に貼るスタイルであれば何の問題もないだろう。

しかし、近年はビジネスとして痛車を製作する会社も増えてきている。その場合はどうなるのだろうか?

記事に関わった人々

  • 加藤久美子

    Kumiko Kato

    「クルマで悲しい目にあった人の声を伝えたい」という思いから、盗難/詐欺/横領/交通事故など物騒なテーマの執筆が近年は急増中。自動車メディア以外ではFRIDAY他週刊誌にも多数寄稿。現在の愛車は27万km走行、1998年登録のアルファ・ロメオ916スパイダー。クルマ英才教育を施してきた息子がおなかにいる時からの愛車で思い出が多すぎて手放せないのが悩み。

おすすめ記事

 

自動車ニュースの人気画像