【走りも楽しいファミリーサルーン】アルファ・ロメオ・ジュリア 英国版クラシック・ガイド 後編

公開 : 2021.01.17 18:25

クラシック・アルファ・ロメオとして、スポーティな走りを楽しめるだけでなく、優れたファミリーサルーンにもなると英国編集部が評価する、105系のジュリア。近年の価格は上昇傾向ですが、部品供給は安定しているようです。

アルファ・ロメオジュリア(105系)の中古車 購入時の注意点

text:Malcom McKay(マルコム・マッケイ)
photo:James Mann(ジェームズ・マン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

  
手入れの行き届いたオリジナル状態のアルファ・ロメオ・ジュリアの運転は、間違いなく喜びでいっぱい。購入前にしっかり観察し、安全な場所での試乗は必ずしておきたい。

生産から数十年が経過している。漏電の危険性もあるワイヤーハーネス類に、サスペンションマウントの劣化や周囲の腐食、タイヤの状態など、確認すべき部分は少なくない。

アルファ・ロメオ・ジュリア(105系/1962〜1977年)
アルファ・ロメオ・ジュリア(105系/1962〜1977年)

ハンドリングに精彩を欠いていたり、反応が曖昧な場合は、サスペンションブッシュやホイールベアリングなどの交換費用を用意したい。ステアリングラックのリビルトも必要かもしれない。

ディスクブレーキは強力。ペダルは、必要以上に重すぎない状態が正解。キャリパーが固着したり、マスターシリンダーやサーボが腐食していることも。リビルトが必要だから、価格交渉のポイントになってくる。

シングルキャブレターの1300系とツインウェーバーの1600系には大きな差があるものの、ツインカムエンジンはパワフルで吹け上がりも軽快。エンジンがオリジナル状態かも確かめたい。適切にアップグレードされていれば、良い評価につながる。

多くのジュリアは、今までの間にメカニズムへ手が加えられている場合がほとんど。エンジンやサスペンションなどは特に。動的性能や操縦性を高められていることが多いが、やりすぎのケースもなくはない。

メンテナンス記録にも注意したい。エンジンオイルやクーラントの定期的な交換は不可欠。試乗中したら、すべてのメーター類と操作系が正しく機能することも確認する。アクセルレスポンスが悪い場合、キャブレターの再調整などが必要となる。

不具合を起こしやすいポイント

ボディ

特にサイドシルの下にフロアパン、トランクのフロア、リアフェンダー、ドア周り、前後のバランスパネルなどで錆が進行しやすい。

ステンレス製のボディトリム・パーツは交換部品が見つかりにくく、価格も高い。

エンジン

アルファ・ロメオ・ジュリア(105系/1962〜1977年)
アルファ・ロメオ・ジュリア(105系/1962〜1977年)

エンジンの仕様が、新車当時と合っているかを確かめる。バルブ系統やタイミングチェーンからのノイズが大きい場合は、摩耗が進んでいる証拠。油圧は温まった回転時で50-60psi前後が適正値。キャブレターが古くなると、回転フィールが悪化する。

オーバーヒートや、エンジンオイルとクーラントの混ざりがないか確かめる。エンジン内部が腐食すると、冷却系統が詰まったりヘッドガスケットが吹き飛んだり、致命的なトラブルにつながる。

トランスミッション

シンクロメッシュの摩耗や、ディファレンシャルも含めて異音がないかを確かめる。トランスミッションのリビルトには、500ポンド(7万円)から1500ポンド(20万円)くらいは必要だ。

ステアリンとブレーキ

ステアリングラックは、ひび割れがないか確認する。

ブレーキは放置状態が続くと固着し、サーボやマスターシリンダーにも悪影響を与えてしまう。交換費用は安くない。充分に強い制動力があるか確かめる。

インテリア

シートカバーとカーペットは、新品で入手が可能。初期のTIのドアパネルなど、一部の部品は手に入らない状態にある。オリジナルのインテリアパネルが完全に揃っているなら、喜ばしい限り。

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