【鳥肌モノの再会】アルファ・ロメオ・スパイダー2000 カムテールでグリーンのS2 後編

公開 : 2021.02.07 18:25

とある女性が30年愛する、アルファ・ロメオ・スパイダー。ロンドンで偶然の再会を果たします。アルファのアイコンといえる1台を、オーナーとともにご紹介しましょう。

ロンドンの通りで6年ぶりに偶然の再開

text:Alastair Clements(アラステア・クレメンツ)
photo:John Bradshaw(ジョン・ブラッドショー)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
ロンドンで、美容師の友人へグリーンのアルファ・ロメオへの思いを打ち明けたイモゲン・ペイン。「お昼に公園で一緒にサンドイッチを食べて、さようなら、と挨拶をしていると、グリーンのスパイダーが目の前を走って行ったの」

通りを走り去るアルファ・ロメオ。「必死に手を振りながら、道を走るアルファ・ロメオを追いかけたわ。それはわたしのクルマなの!、って何度も叫びながら」。ペインは、スパイダーを呼び止めることができた。

アルファ・ロメオ・スパイダー2000(1971〜1982年)
アルファ・ロメオ・スパイダー2000(1971〜1982年)

「オーナーと話をしようとした時、自転車に乗った人がナイスなアルファだね、とつぶやいて去っていきました。わたしが取り戻さなくては、と一層強く思いましたよ」。単なる偶然の再会では終わらなかった。

「彼にどれだけクルマを手放して後悔しているか、取り戻したいと考えているのか、説明しました。すると彼は、アルファ・ロメオ・ジュリエッタレストアのために資金が必要で、このスパイダーを売りに出したばかりだと話すんです。しかも、昨晩」

「思い出すだけで鳥肌が立ちます。1週間後だったら、取り戻し損ねていたかもしれません。運命ですよね」。別の購入希望者が見に来る予定があると聞き、提示額でスパイダーを買い取ることに同意。それ以来、ずっとペインのそばにいる。

「彼に売ったときより3000ポンド(42万円)高い金額でしたが、彼は6年の間にトランスミッションやクロスメンバーなどの修理に6500ポンド(91万円)も支払ったそうです」。と笑顔を見せるペイン。

スパイダーは乗って楽しむクルマ

「昔より、ずっと良く走るので驚きました。きっと大変だったと思います。スパイダーを運転して降りる度に、愛おしくて思わず眺めてしまうんです」

「売る前の4年間より、買い戻してからの4週間の方が、走行距離は長いと思います。昔を取り戻すような、とても幸せな時間。郊外の道は、アルファ・ロメオのために作られたようなもの。無意識のうちに笑顔になってしまうの」

アルファ・ロメオ・スパイダー2000(1971〜1982年)
アルファ・ロメオ・スパイダー2000(1971〜1982年)

整備と一緒に、いくつかの変更も加えられている。だが、どれもスパイダーを良くする内容だ。30年間ペインが愛していたスパイダーに変わりはない。

「今、ホイールは当時物のアルミを履いています。でも、赤と白、緑のポイントが入ったホイールキャップを買ったので、初めのようにスチールホイールに戻したいと考えています」

「もちろん、手放すつもりはありません。わたしの姪は、イタリア人とのハーフ。今後は姪の家族に受け継いでもらおうとは、話しています」。素晴らしいアルファ・ロメオに乗れるのだから、断る理由はないだろう。

アルファ・ロメオ・スパイダーは、飾って楽しむクルマではなく、乗って楽しむクルマだ。デロルト社製のDHLA 40キャブレターが2基載る、2.0Lツインカムエンジンのレスポンスは鋭い。アクセルペダルを一度踏み込むだけで、気持ちよく吹け上がる。

リクライニングできるシートは座り心地が良い。ウッドリムの3スポーク・ステアリングホイールの奥に、2眼の大きなイエーガー社製メーターが見える。刺激的な眺めだ。タコメーターの目盛りは8000rpmまで切ってある。スポーツカーの熱量を示すように。

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