最新のマクラーレンが最良のマクラーレン!アルトゥーラ2025年モデルの話【新米編集長コラム#31】

公開 : 2025.05.25 11:45

AUTOCAR JAPAN編集長ヒライによる、新米編集長コラムです。編集部のこと、その時思ったことなどを、わりとストレートに語ります。第31回は、第26回に続き、ふたたびマクラーレンの話です。

UK編集部の見立て

いきなりではあるが、2024年11月16日に公開したUK編集部による『マクラーレンアルトゥーラ詳細データテスト』の翻訳記事から、以下の部分を引用したい。

『新CEOとして、2022年までフェラーリの技術主任を務めていたマイケル・ライターズが着任したことで、このフィロソフィーはさらに強まったようだ。すでに、720Sは走りに関する部分が刷新され、750Sとなった。外観はほとんど変わらないが、この2台の詳細を知れば、別物だというだろう』。

今回のテーマとなるマクラーレン・アルトゥーラの2025年モデル。
今回のテーマとなるマクラーレン・アルトゥーラの2025年モデル。    平井大介

当コラム#26で、マクラーレンは今最も純粋なスーパースポーツカーであり、そこにはマイケル・ライターズCEOの影響もあるだろうと書かせて頂いた。UK編集部の見立ても同様で、上記でいう『このフィロソフィー』は以下の通りである。

『彼らはコンスタントに、プロダクトのリファインに努めてきた。それも、多くのユーザーがたいして気にしないようなディテールまでもだ。基礎は同じままかもしれないが、細部は進化を続けている』。

昨年末まで約13年間、フェラーリ専門誌『SCUDERIA』の編集長を務めてきたので、ライターズCEOはやはりフェラーリのイメージが強い。特に296GTBがデビューした時に新型V6ツインターボの技術解説をしていた姿が印象的で、毎回、フェラーリの最新技術は彼の存在が大きいのだろうと思っていた。だから、マクラーレンへの移籍は、人一倍衝撃的に捉えていたのだ。

そして、最後にもう1文引用させて頂く。

『そして2024年、V6ハイブリッドを積んだマクラーレンのエントリーモデルであるアルトゥーラが、登場からたったの2年で改良を受けた』。

……そんなもの、興味が沸くに決まっているじゃないか!

2025年モデルのアルトゥーラ・クーペ

というわけで、ずっと気になっていたアルトゥーラ。当コラム#26の最後に『また、マクラーレンに乗りたくなってきた』と書いたこともあり、スーパーカー超王こと山崎元裕センセイに執筆頂いた750Sクーペをお借りする際に、2025年モデルのアルトゥーラ・クーペもお願いした次第だ。

試乗当日対面したクーペは、ヴォルカーノ・イエローという鮮やかなボディカラーであった。天候もよく、気分が自然と高まっていく。

乗れば乗るほどクルマとの一体感が増していくアルトゥーラのコクピット。
乗れば乗るほどクルマとの一体感が増していくアルトゥーラのコクピット。    平井大介

さて、605psのV6ツインターボと95psのモーターを組み合わせたプラグインハイブリッドであるアルトゥーラだが、皆さまはどんなイメージをお持ちだろうか。筆者はV8ではなくV6のハイブリッドと聞いて、しかも750Sよりデザインが大人しいので、何となく若干ラグジュアリー方面を想像していた。

しかししかし、である。今回試乗してみてマクラーレンらしい、そして英国車らしいピュアなスーパースポーツカーであることを再認識した。誤解を恐れずに書くならば、想像しているよりもずっとプリミティブでピュアだ。

アルトゥーラのボディサイズは全長4539mm、全幅1913mm、全高1193mmで、750Sクーペの全長4569mm、全幅1930mm、全高1196mmと比べると、それほど変わらない。だからアルトゥーラ単体で見るとかなり存在感があるのだが、乗っていると750Sよりだいぶ小さく感じるから不思議だ。

しかも相性がいいのかサイズ感がちょうどよく、乗れば乗るほどクルマとの一体感が増していく。まるでクルマの四隅に手が届きそうな感覚すらあった。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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