そろそろ70歳の色褪せぬ傑作 ボルボ・アマゾン UK版中古車ガイド(2) 堅牢でも劣化は不可避

公開 : 2025.05.25 17:46

安全性と耐久性という、ボルボのイメージを確立 3点式シートベルトを採用した初の量産車 70年前の設計と思わせない操縦性 堅牢なエンジンも摩耗は避けられず UK編集部が北欧の名車を振り返る

設計が70年も前と思わせない操縦性

ボルボ・アマゾンは、ツインキャブレター仕様やB20型エンジンの、驚くほど軽快な走りが魅力。70年も前の設計だとは信じられないほど、操縦性も良い。乗り心地は快適で、身近なクラシックカーとして楽しむのに望ましい1択といえる。

メインベアリングが5枚のB18型は堅牢さを増したとはいえ、初期の1.6L B16型エンジンが弱いわけではない。点火タイミング・ギアやカム山が摩耗し、パワーの低下へ至りやすい。排気ガスが曇る場合は、バルブステムシールの交換を考えたい。

ボルボ・アマゾン(120シリーズ/1956〜1970年/英国仕様)
ボルボ・アマゾン(120シリーズ/1956〜1970年/英国仕様)    ジェームズ・マン(James Mann)

キャブレターの劣化でも馬力は落ちるが、リンケージ調整で復調する場合も少なくない。リアのクランクシールから、オイル漏れしやすい。

油圧の低下や過度なエンジンオイル消費、ノッキング音が出るようになったら、リビルドを検討したいところ。フェルト製のシール材は、ゴム製へ交換できる。

エンジンのチューニングは一般的

英国には、アマゾンのチューニングを手掛けるガレージが複数存在する。ラッドスピード社では、B18型を120ps程へ引き上げ、最高速度160km/hを実現してくれる。ステーションワゴンで、0-100km/h加速は12.4秒とのこと。軽量なサルーンの方が速い。

ツインキャブレター・エンジンにハイカムを組めば、134psに届く。ヒストリックカー・ラリーの出場車は、同等のチューニングを受けているのが一般的。LSDが組まれた例もある。インジェクション化や、オーバーヘッドカム化も可能だ。

ボルボ・アマゾン(120シリーズ/1956〜1970年/英国仕様)
ボルボ・アマゾン(120シリーズ/1956〜1970年/英国仕様)    ジェームズ・マン(James Mann)

マニュアルのトランスミッションは堅牢で、シフトレバーの動きも滑らか。マウントの交換で、変速フィールは取り戻せる。中には、ボルボ240シリーズ用の5速MTが載っている場合もある。オリジナルの4速MTも、オーバードライブ付きで汎用性は高い。

サスペンションは、ブッシュの劣化などは想定の範囲。コイルスプリングは折れることがある。殆どの部品は入手可能。ポリウレタン製へ交換もできるが、精度が増すかわりに洗練された印象は減じる。

購入時に気をつけたいポイント

ボディとシャシー

フロアやサイドシル、フロントガラス周辺、バルクヘッド、バッテリーボックスなどは錆びがち。サスペンションマウントやボンネットの前端、ホイールアーチ、ヘッドライトの周辺、ドアの下部、トランクリッド、バンパーなども錆びやすい。

フロントガラスのゴムモールは劣化で収縮し、水漏れを招く。フロントピラーやバルクヘッド、フロア、サイドシルなどのサビへ繋がる。

エンジン

ボルボ・アマゾン(120シリーズ/1956〜1970年/英国仕様)
ボルボ・アマゾン(120シリーズ/1956〜1970年/英国仕様)    ジェームズ・マン(James Mann)

アマゾンの4気筒エンジンは、どれも基本的に堅牢。トランスミッションとの相性も良く、力強く感じられるが摩耗は避けられない。有鉛ガソリンが一般的な時代のクルマで、無鉛ガソリンで高負荷をかけるとバルブシートが傷む。

シングルキャブレターが良く売れたが、現存例の多くはツインキャブレター。今回の車両のエンジンルームは歴史を感じさせる見た目だが、しっかり好調だった。

トランスミッション

クラッチの滑りや、プロペラシャフトの劣化による振動、フルード漏れ、ギアやアクスルからの異音に注意したい。シンクロメッシュの状態や、走行中にギアが抜けないかもチェックポイント。

ステアリングとブレーキ

ステアリングホイールは、走行中に軽く回せ、適度な遊びがある。タイトに調整しすぎると、切り始めで重くなりがち。ラックの取付部分のサビにも注意したい。

ブレーキキャリパーとスレーブシリンダー、サイドブレーキの固着へ注意したい。サーボは故障しがち。

インテリア

ダッシュボードは上部が割れがち。修復は可能だ。シートは当時としては座り心地が良く、調整域も広い。新しい素材を入手し、全体をリフレッシュするのも悪くない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マルコム・マッケイ

    Malcolm Mckay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジェームズ・マン

    James Mann

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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