【コスト度外視のスポーツカーたち】内燃機関の火が消える前に 技術の粋を味わえる3台 後編

公開 : 2021.03.06 21:45  更新 : 2021.03.10 09:35

GT-Rニスモの並外れた性能と磨かれたドライビングを堪能した後は、ドライバーズカーとして定評のあるA110と、やはり大好評のGRヤリスです。英国編集部は、どれも今のうちに買うべきクルマだという結論に至りました。

A110が示す軽さのメリット

text:Piers Ward(ピアース・ウォード)
photo:Olgun Kordal(オルガン・コーダル)

GT-Rからアルピーヌに乗り換えると、状況はガラリと変わる。A110は、どのように走らせようとしてもパーフェクトにハッピーだ。

市街地では、DCTと穏やかなシャシーによりゆったり心地よく走れる。これがB級道路になると、すべてが麗しく噛み合ってくる。じつにすばらしい。

内装のクオリティはポルシェに及ばないかもしれないが、走り出せばそんなことはどうでもよくなる。
内装のクオリティはポルシェに及ばないかもしれないが、走り出せばそんなことはどうでもよくなる。    Olgun Kordal

A110はまさに、その魅力を存分に体現したクルマだ。優秀なスポーツカーを成立させる要素は、必ずしも怪物的なパワーや極太のタイヤではない。ポルシェがいつも示してきたように、どんなスピードで走っていてもハッピーで、しかも正しいと感じられる。

GT-Rがベテランのロッカーなら、A110はいつでも楽しませようとしてくれる親友のような存在、といったところだろうか。

斬新な軽量化策は、コスト面はともかく、このクルマの評判がとにかくいい理由だ。専用設計のプラットフォームを観察すると、ダブルウィッシュボーン式サスペンションは、フロントが燃料タンクに、リアがエンジンに、それぞれ驚くほど接近したパッケージングとなっている。

それ以外にも、あらゆる場所に注意が払われている。そうして、A110の信条にも、アルピーヌというブランドの歴史にも忠実であり続けようとしているのだ。

シャシーとボディにはアルミ素材を用い、A110は1114kgと軽く造られている。そのことで、アルピナはよりパワフルでよりハイグリップに、というセオリーに背を向けたのだ。そして、そのすべてが正しいことを走りが裏付けているのはうれしい話だ。

完璧なまでのバランス

出来のいいシートに身を沈め、スターターボタンを押すと、直4ターボとしては驚くほど興味を惹かれるエキゾーストノートを楽しめる。スポーツモードを選べば、予期した以上に破裂音やノイズが聞こえてくる。

頭の硬い保守派なら、A110のトランスミッションがオートマティックしかないことを嘆くかもしれないが、個人的にはアルピーヌの決定を歓迎したい。

軽さこそ正義。A110がみせる息を呑むようなデリカシーは、そのことを再確認させてくれる。
軽さこそ正義。A110がみせる息を呑むようなデリカシーは、そのことを再確認させてくれる。    Olgun Kordal

このクルマの器用なタッチや、指先の軽い動きで操り、デリケートにアスファルトの上を流していくような感覚にマッチしているからだ。狂気的なGT-Rと乗り比べたら、A110は1本の絹糸のように感じられる。

A110は非常に軽いので、アルピーヌはスプリングレートをよりソフトに設定できた。それゆえ、乗り心地がいいことにも驚きはない。コーナリング中のロールはライバルたちより大きいが、どういう状態になろうとしているか正確に把握できる心地よさがある。

ミドシップのスポーツカーの中には、ファンタスティックなバランスを備えていながらも、思い切り攻めた走りをするとフィードバックに不足を覚えるものもある。それらの走りは挙動の変化やプロセスに唐突なところがあったりするが、A110は穏やかだ。ターンインして、フロントがグリップし、ボディがロールすると、ドライバーを中心に旋回する。すばらしくリニアなプロセスだ。

バランスは、このクルマのキーワードである。何もかもがうまくできていて、かけ違えがひとつもない。テスト車のボディカラーにさえ親しみを覚える。1週間乗り続けて思ったのは、エンジニアたちは次期モデルもこれとまったく同じように造ってほしいということだ。世界はそれを望んでいる。

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