【ゴルフRの駆動系を移植】フォルクスワーゲン・ティグアンRへ試乗 320ps+四輪駆動

公開 : 2021.04.01 08:25

速く運転しやすく、使い勝手の良いティグアンR。ゴルフRに準じる強心臓が与えられているものの、操縦性ではライバルを意識してしまう様子。英国編集部が評価しました。

ゴルフRの技術をSUVへ投入

text:Richard Lane(リチャード・レーン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
フォルクスワーゲンの人気モデル、中型SUVのティグアンに「R」が追加された。8代目ゴルフにRを求めたユーザーの気持ちは、SUVへも波及しているようだ。

最高出力320psを発生する2.0L 4気筒ターボと、7速DSG、気持ちを高ぶらせるインテリアに、Rパフォーマンスと呼ばれるトルクベクタリング機能で武装した駆動系。ゴルフRの技術が200kg近く重たいSUVへ投入されている。

フォルクスワーゲン・ティグアンR(英国仕様)
フォルクスワーゲン・ティグアンR(英国仕様)

メカニズムを移植したとしても、SUVだから重心高は低くない。それでも、実用重視のSUVではなく本格的なRだという自負を強めるべく21インチのアルミホイールを履き、オプションのアクラポビッチ社製エグゾーストも組める。

フォルクスワーゲン製の高速SUVといえば、2008年に欧州でリリースされたトゥアレグR50があった。5.0LのV型10気筒ツインターボ・ディーゼルをフロントに押し込んだ、スーパーSUVだ。ブランドにとっては、それ以来の野心的なSUVかもしれない。

英国でのティグアンRの価格は、約4万6000ポンド(690万円)。同等の装備が与えられたゴルフRより6000ポンド(90万円)ほど高い。ティグアンのエントリーグレードなら2万5000ポンド(375万円)しないから、かなりの価格に思える。

エントリーグレードで245psの、ポルシェ・マカンに接近した価格でもある。ティグアンRより快適性重視で標準装備は少ないが、このカテゴリーのベンチマークといえるモデルだ。

5秒を切る0-100km/h加速

ティグアンRにはローンチコントロールも備わり、0-100km/h加速に要する時間は5秒以下。新しいメルセデスAMG GLB 35やBMW X2 M35iよりダッシュ力では優れる。

1つ飛び抜けた性能を誇るのがアウディRS Q3。こちらには5気筒ターボエンジンが載り、最高出力は401ps。フォルクスワーゲンより刺激的な見た目も備わるものの、英国価格は5万3000ポンド(795万円)からと、かなりお高い。

フォルクスワーゲン・ティグアンR(英国仕様)
フォルクスワーゲン・ティグアンR(英国仕様)

ティグアンRもゴルフRと同様にMQBプラットフォームを採用するが、こちらは延長版。車内はかなり広々としていて快適だ。クロスオーバーのライバルと比較しても広く、オプションのパノラミック・グラスフールを追加すれば開放感はさらに増す。

まるでワンランク大きいクルマに乗っているかのよう。一方で、ダッシュボードには大きなデジタルモニターが据えられているものの、デザインは一世代昔の印象もある。

車内を眺めればRらしいスポーティな要素が散りばめられているが、基本構造にはSUVらしさも残る。ティグアンは実用性重視。スポーティさを増しても変わらない。

ドライビングポジションはライバルより明確に起き気味で、コマンドポジションと呼びたくなるが、Rの場合は魅力にはならないだろう。GLB 35やマカンでは、ダッシュボードの背後に見を沈めるような感覚がある。

ステアリングホイールにはRボタンが付き、アグレッシブなドライブモードが選べる。アクティブコントロール・ダイヤルがセンターコンソールに付き、駆動系をオンロード寄りかオフロード寄りか、設定することもできる。

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