【故ピエヒの夢、思い描く】アウディRS Q3スポーツバック試乗 5気筒の粒立ち

公開 : 2021.05.12 05:45

アウディRS Q3スポーツバックに試乗。5気筒の手ごたえと雑味のない乗り味は皆に薦められる「いいもの」です。

もくじ

故ピエヒの意向が直感的に垣間見えるRS
RS Q3 ファッショナブルなだけでなく……
雑味なく意外なほど洗練されたRS
スペック

故ピエヒの意向が直感的に垣間見えるRS

text:Toshifumi Watanabe(渡辺敏史)
photo:Satoshi Kamimura(神村 聖)
editor:Taro Ueno(上野太朗)

フェルディナント・ピエヒが亡くなってからこの夏で2年の時が経つ。

氏がポルシェを皮切りに自動車業界で積み上げてきたキャリアについては枚挙にいとまがない。

アウディRS Q3スポーツバック
アウディRS Q3スポーツバック    神村 聖

フォルクスワーゲン・グループの総帥としてさまざまなメーカーを束ねる間には数々のエピソードを築いてきた。

しかし、個人としてとりわけ濃密な時を過ごしたのはその前の約20年、ポルシェ917の成功を引きさげて技術開発担当としてアウディに迎えられ、同社の会長まで登りつめた72~93年になるだろう。

氏のエンジン屋としての誇りと意地は直列5気筒エンジンの開発に費やされ、76年にはアウディ100に搭載された。

その後、エンジン縦置きFFというユニークなエンジニアリングをべースに、センターデフを持つフルタイム4WDを開発。いわずと知れた「クワトロ」は80年代前半、WRCのグループ4からグループBにかけての時代にアウディに数多くの栄光をもたらす。

この開発を主導したのもまたピエヒだ。

アウディの社是である「技術による前進」をゴリゴリに推進し、そのテクノロジーによってブランドをプレミアム化させた、いかにもドイツ的なシナリオを描いた張本人。

そんなピエヒの意向が直感的に垣間見えるプロダクトの1つが、RS銘柄だ。

RS Q3 ファッショナブルなだけでなく……

RS銘柄の開発、生産を担当するのは、アウディのモータースポーツ活動を支えるアウディスポーツGmbHになる。

かつてのクワトロGmbHが改名……といえばピンとくる方も多いだろう。

アウディRS Q3スポーツバック
アウディRS Q3スポーツバック    神村 聖

これもまたアウディがWRCで大活躍していた83年、ピエヒの肝煎りで設立された完全子会社だ。

アウディスポーツGmbHが手掛けるRS銘柄は現在8モデルになる。うち、TT RSやRS3とともに横置きながらも伝統の直列5気筒ユニットを積むのがRS Q3、その派生モデルとなるこのRS Q3スポーツバックだ。

2代目となるQ3のクーペ的な位置づけとして投入されたスポーツバックは、べースのQ3とホイールべースは同等、若干長く低いファストバックプロポーションとなる。

スライド機能を持つリアシートの着座感は身長181cmの筆者だとQ3に対して頭周りの圧迫感は少々感じられるもレッグスペースは広く、Cセグメントとしてみれば充分に快適、かつその状況でも荷室の容量は額面上同等と、単にファッショナブルなだけではなく、なかなか巧みなパッケージも両立していた。

そしてRS Q3もその素性をまったく削ぐことなく継承する。

重心的な差異は殆どなさそうだが、ルックス的にいえば、RS化の素材としてQ3以上に適正が高いように窺える。

RS Q3に搭載される2.5L 5気筒は、09年の初代TT RSに初搭載されたEA855をベースとしたEA855 evoとなり、エンジン本体は20kg以上の軽量化を果たしながら、400ps/48.9kg-mを発揮する。

組み合わせられるミッションは7速Sトロニック、つまり湿式のDSGだ。

四駆システムはリアアクスルに置かれた電子制御油圧多板クラッチで前後の駆動力を最適配分するハルデックスカップリングを採用。イニシャルで約5%配される後輪の駆動力は、最大で50%の配分まで瞬時に高められる。

満艦飾の試乗車は、ダイナミクス面のオプションとしてRSスポーツエグゾーストシステム、21インチのタイヤ&ホイール、電子制御可変ダンパー、更にはフロントにカーボンセラミックブレーキを装着。これだけでざっと125万円相当のエクストラとなる。

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