【別の時代へタイムスリップ】ベントレー・ブロワー・コンティニュエーションへ試乗 後編

公開 : 2021.06.04 19:05  更新 : 2021.06.05 00:16

ベントレー4 1/2ブロワーの限定復刻の計画は順調に進行中。完成した初のプロトタイプを、英国編集部が試乗しました。

もくじ

細部に至るまで見事に復刻
驚くほどモダンな技術を載せる4.4L 4気筒
世界中でこれだけ、という体験に包まれる

細部に至るまで見事に復刻

text:Andrew Frankel(アンドリュー・フランケル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
かつてのレーシングドライバー、ヘンリー・バーキンがドライブしたベントレー・ブロワーの隣に、新しく作られたベントレー・ブロワー・コンティニュエーションの試作車が停まっている。シュールな眺めだ。

思わず、両車の違いを観察してしまった。オリジナルのブロワーのペダルは、ダブルクラッチでの変速が長年繰り返され、表面が滑らかに摩耗している。メーターの文字盤は、太陽光を90年も浴び続けてきた結果、少し色あせている。

ベントレー・ブロワー・コンティニュエーション・プロトタイプ
ベントレー・ブロワー・コンティニュエーション・プロトタイプ

しかし、ダッシュボードに付けられたラップカウンターなど、細部に至るまで見事に復刻されている。このラップカウンター、本来は1930年のル・マン出場前に、フランスのどこかのホテルで入手したものらしい。それも一度バラし、復元してある。

ブロワーのシートに座ると、巨大なステアリングホイールを抱える格好になる。メーターが無計画に並んでいるように見え、クルマではなく、古い複葉機のような気分にもなる。

エンジンの始動プロセスは複雑だが、難しいわけではない。最初に隠れた場所にあるカットオフ・キーを回してオンにし、次に燃料ポンプを機能させる。必要なら、手動ポンプでエンジンへガソリンを余計に送ることもできる。

点火用の電気を生み出す発電機、2つのマグネトーをオンにする。クルマが進んでしまえば、バッテリーは不要だ。続いてステアリングホイール上のレバーを操作し、点火タイミングを少し遅らせる。最後にスターター用の大きなボタンを押せば完了。

驚くほどモダンな技術を載せる4.4L 4気筒

エンジンが温まっていれば、すぐにアイドリングを始める。4.4Lと大排気量でも、シリンダーは縦に4本だけ。1気筒あたり1L以上の大きさがあるが、驚くほどモダンな技術も載せている。

イグニションはツインスパークだし、ヘッドはオーバーヘッドカム。1気筒毎に4つのバルブが付いている。充分に現代的な仕様だ。ベントレーは、今から100年前にこの技術を確立していた。

ベントレー・ブロワー・コンティニュエーション・プロトタイプ
ベントレー・ブロワー・コンティニュエーション・プロトタイプ

4.4Lのスーパーチャージャーで243ps/4200rpmは控えめに思える。しかし当時の典型的なクルマ、例えばオースチン・セブンより20倍もパワフルだった。今でいうなら、2000ps以上に相当するだろう。

復刻されたブロワーに近づくことですら、勇気がいる。なんとベントレーは太っ腹なのだろう。100万ポンド(1億5000万円)の価値があるし、運転も簡単ではない。これまでも、ベントレーは筆者を信頼してくれてきたことに感謝したい。

クルマは開発直後ということもあって、ビンテージ・ベントレーの基準でいっても少し荒削りなところがある。クラッチのつながる位置はペダルの手前すぎ、スロットルのリンケージにはクセがあり、ブレーキはまだ慣らしの前。

MTには変速時の回転数を合わせてくれるシンクロメッシュがなく、ブレーキとアクセルのペダルは現代とは逆の配置。それでなくてもチャレンジングなクルマなのに、いつも以上に高い集中力が求められる。

もっとも、よくある初期の不備といったところ。予想の範囲とはいえるだろう。

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