【別の時代へタイムスリップ】ベントレー・ブロワー・コンティニュエーションへ試乗 後編

公開 : 2021.06.04 19:05  更新 : 2021.06.05 00:16

世界中でこれだけ、という体験に包まれる

エンジンは感心するほど完璧に仕上がっており、オリジナルの2号車より力強い印象を受ける。ベントレーがスーパーチャージャーのブースト圧を制限していても。シャシーは、予想より完成形の手前側にあるようだ。

速度を増していくと、世界中でこれだけ、という体験に包まれる。小さなフロントスクリーンの後ろに腰を掛け、大きなステアリングホイールを握りながら、ミルブルックのバンクコーナーを突き進む。

ベントレー・ブロワー・コンティニュエーション・プロトタイプ
ベントレー・ブロワー・コンティニュエーション・プロトタイプ

ブルックランズ・サーキットを駆けるバーキンが、筆者に降りてくる。冴えない表現かもしれないが、そんな体験だった。

アクセルペダルを踏み続ければ、速度は190km/hを超えるだろう。しかし、160km/hで走りたいという筆者の希望を、ベントレーは丁重に断った。正しい判断だと思う。

ベントレーがカー・ゼロと呼ぶ、ブロワー・コンティニュエーションの1台目は開発途中。激しく攻め立てるような走り方はできない。

例え能力の3分の2程度しか許されなかったとしても、別の時代へタイムスリップする入り口のようなクルマだった。命がけで戦ったレーシングドライバーが本当のヒーローだった時代を、鮮明に感じ取れる。

ベントレー・ブロワー・コンティニュエーションのカー・ゼロは、とても貴重で特別な経験を与えてくれた。多くの人の記憶をはるかに超えた、昔の時代の体験を。完成したのなら、さらに別の意味も持つクルマとなるのだろう。

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