【家族で乗れるクラシック】トライアンフ2000/2500/2.5 英国版クラシック・ガイド 後編

公開 : 2021.06.13 17:45

英国では当初から支持されていたトライアンフ2000。現在も一家で乗って楽しめるクラシックとして、人気を保っています。英国編集部がご紹介しましょう。

エンジンもトランスミッションも堅牢

text:Malcolm Mckay(マルコム・マッケイ)
photo:James Mann(ジェームズ・マン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

  
トライアンフ2000系に搭載される6気筒エンジンは丈夫。冷えていても温まっていても、一発始動が普通。しかし、始動性が悪かったりアイドリングが落ち着かないことが、PI(ペトロール・インジェクション)では弱点として知られていた。

当時は燃料インジェクションは新しい技術だったが、今では高効率に設定し走らせることができる。経験がすべてで、英国には知見豊かな専門ガレージが何軒もある。上手に設定すれば、PIでも楽しいオーナーライフを過ごせるはず。

トライアンフ2000 Mk1(1963〜1969年/英国仕様)
トライアンフ2000 Mk1(1963〜1969年/英国仕様)

クランクシャフトがエンジンとしては数少ない弱点。スラストベアリングは早めの交換が吉。悪化するとクランクシャフトだけでなく、エンジンブロックも傷めてしまう。それ以外、エンジン内部の摩耗やオーバーヒートなど、一般的な不具合には注意したい。

MTには全段にシンクロメッシュが付き堅牢。オプションでオーバードライブを3速とトップに付けられた。穏やかな高速クルージングも余裕でこなせる。ボルグワーナー社製のATも比較的長持ちする。リビルドもほかのユニットより安価に行える。

デフのフルード漏れやドライブシャフトは確認ポイント。特に高馬力のクルマでは、負荷が大きく振動が出る場合がある。ダットサンのドライブシャフトが流用できるようだ。ただし、普通に運転しているだけでは気づきにくい。

ブレーキは整備を怠らなければよく効く。フロントはディスク式で、リアは幅44mmのシューを備えるドラム式。

不具合を起こしやすいポイント

エンジン

直列6気筒エンジンは堅牢で信頼性は高い。ほかのモデルにも搭載されており、英国ではまだ部品も手に入る方。詰まったラジエターによるオーバーヒートや、排気バルブの不具合によるミスファイア、内部摩耗などが注意したいポイント。

クランクシャフトのエンドフロートは弱点の1つ。クランクシャフト・スラストワッシャーが摩耗しやすい。

トライアンフ2000 Mk1(1963〜1969年/英国仕様)
トライアンフ2000 Mk1(1963〜1969年/英国仕様)

Mk1ではヘッドガスケットが傷みやすい。ノッキング音や不自然な振動、オイル漏れなども想定できる。クラッチ操作に伴い、プーリーの動きに変化がないかも確かめたい。PIでは、燃料ポンプも見落とされがちな弱点だ。

駆動系統

ドライブシャフト端のスプラインから、異音や振動が出ることがある。摩耗で悪化するが、修理は可能。リアデフからのノイズやフルード漏れにも注意したい。

サスペンションとブレーキ

ブッシュ類は安価に交換できるものの、数は多い。漏れたオイルで痛みやすくなる。ブッシュ類がヘタると締りがなくなる。だがポリウレタン製は硬さが目立ってしまうだろう。

ボディ

サイドシルやアウトリガー、フロアパン、サスペンション・アーム周辺とスプリング、ホイールアーチ、すべてのピラー、ボディ前端と後端のパネル、ドアの下部、スカットル、ボンネットヒンジ付近など、錆びる部分は無数にある。

リアシートの下やトレーリングアーム・マウントの上などは、修理が難しい。注意深く各部を観察したい。

インテリア

ドアのウッドトリムは、太陽光や湿気で傷みやすい。ビニール製の内装は耐久性が高いが、後期のナイロン製は弱い。得にMk1の場合、メーター類やスイッチ類の交換部品は見つけにくい。

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