【EVシフト】現実的な答えは? ご近所グルマ「超小型モビリティ」の可能性

公開 : 2021.09.15 19:45  更新 : 2021.09.15 21:15

「EVシフト」という言葉を度々目にします。中国で話題の小さなEVを参考に、「超小型モビリティ」の可能性を考えましょう。

軽より小さい、3つの選択肢

執筆:Hajime Aida(会田肇)

今、日本で新たなカテゴリーの自動車に注目が集まっている。それが、超小型モビリティだ。

国土交通省はこれを「自動車よりコンパクトで小回りが利き、環境性能に優れ、地域の手軽な移動の足となる1人~2人乗り程度の車両」と定義。

日本のEVベンチャー、FOMMによるフォム・ワン。水に浮いて移動できる構造となっており、自然災害が多い昨今注目が集まっている。
日本のEVベンチャー、FOMMによるフォム・ワン。水に浮いて移動できる構造となっており、自然災害が多い昨今注目が集まっている。    会田肇

つまり、超小型モビリティとは、軽自動車よりも小型で数人が乗れる“ご近所グルマ”として新たに設けられたカテゴリーなのだ。

道路運送車両法に基づくと、超小型モビリティは第一種原動機付自転車(ミニカー)、軽自動車(認定車)、軽自動車(型式指定車)の3つに区分されている。

たとえばコンビニなどが配達用として使っているトヨタ「コムス」は、この中の「ミニカー」に相当。

「認定車」は軽自動車の大きさ(全長3.4m以下、全幅1.48m以下、全高2m以下)よりも小さい車両で、地方自治体などが定めた「交通の安全と円滑を図るための措置を講じた場所」に限って、公道での走行ができる。

超小型モビリティは「型式指定車」に区分される車両で、2020年9月1日、道路運送車両法施行規則の一部が改正されて新たに定義付けされた。

高速道路を走れない?

「型式指定車」のボディサイズは、全長2.5m以下、全幅1.3m以下、全高2m以下で、乗車定員は4名。

最高速度は時速60km以下とし、高速自動車国道または自動車専用道路などを“運行しない”ことが条件となっている。

今春、出光興産と千葉県市原市が手を組み、カーシェアリングサービスを開始。写真は、市民・観光客に向けて超小型モビリティ「認定車」として出光タジマEVが提供する2人乗りのEV「ジャイアン」。
今春、出光興産と千葉県市原市が手を組み、カーシェアリングサービスを開始。写真は、市民・観光客に向けて超小型モビリティ「認定車」として出光タジマEVが提供する2人乗りのEV「ジャイアン」。    会田肇

なお、車両の安全対策として、時速40kmでの前面衝突試験を行うなどの衝突安全基準も設けられている。

パワーユニットに縛りはないが、これまでに開発が進められている車両は基本的に電気自動車(EV)であり、すでにトヨタは2人乗りの小型EV「C+pod(シーポッド)」を開発済みで、来年にも一般販売する予定になっている。

さらに出光興産がタジマモータースと組んで4人乗りの車両を計画。

日本発のEVベンチャー企業である「FOMM(フォム)」も日本国内での販売を目論んでいる。

気になるのはそのスペックだろう。

現在、販売されているEVの多くは航続距離を伸ばすためにフロアいっぱいに多くのバッテリーを積む。航続距離の長さをウリとしているテスラでは東京~大阪間を充電なしに走り切ることを豪語しているほどだ。

そんな中で、最高速度60km/h未満で高速道路も走れないこのEVを、いったい誰が買うのか。そう考える人は決して少なくないだろう。

しかし、それこそが超小型モビリティの狙いでもあるのだ。

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