【フィアット500の歴史辿る】「カーザ・チンクエチェント」トリノ旧工場にオープン

公開 : 2021.09.26 05:45  更新 : 2021.10.09 22:15

イタリア・トリノにオープンした新施設「カーザ・チンクエチェント」、「ラ・ピスタ・チンクエチェント」を紹介します。

3世代の500 8つの視点で

執筆:Akio Lorenzo OYA(大矢アキオ)
編集:Taro Ueno(上野太朗)

ステランティスのフィアット・ブランドは2021年9月22日、イタリア・トリノに新施設「カーザ・チンクエチェント(Casa 500)」および「ラ・ピスタ・チンクエチェント(La Pista 500)」をオープンした。

いずれの施設も、旧フィアット・リンゴット工場再開発ビルの屋上部分に開設された。

カーザ・チンクエチェント
カーザ・チンクエチェント    ステランティス

「カーザ・チンクエチェント」はイタリア語で「(フィアット)500の家」を意味する。2020年7月、インターネット上で公開されていたヴァーチャル版に続く披露となった。

既存の施設「ピナコテカ・アニェッリ(アニェッリ絵画館)」の一部約700平方メートルを使用。

第二次世界大戦後のイタリアにモータリゼーションをもたらした1957年型、21世紀のチンクエチェントとして登場した2007年型、さらに2020年のEV版「500e(ヌウォーヴァ500もしくは500エレットリカ)」という、3世代のフィアット500を8つの視点から紹介する。

展示室の中心には1956年に製作され、FCAヘリティッジ部門が保有してきた開発用木製モックアップが据えられている。

例として「レガシー」のコーナーではフィアット500の産業・文化遺産的価値に焦点を当てる。

「メイド・オブ・イタリー」のコーナーでは、エットーレ・ソットサスによるオリベッティ社製タイプライター、アキッレ・カスティリオーニのブリオンヴェガ社製ラジオなど、イタリア工業デザインの象徴的プロダクトを展示。

それらとともに、フィアット500がいかに従来のデザインの常識を覆し、人々の認識を変えたかをアピールしている。

ノスタルジーではなく……

歴史ゾーンではインタビュー、広告、イベント、受賞歴など、歴代フィアット500にまつわるさまざまな動画コンテンツを閲覧できる。

スケッチや画像のコレクションはデザインの進化と、フィアットが3世代の500で試みた創造的冒険を見ることが可能だ。

カーザ・チンクエチェント
カーザ・チンクエチェント    ステランティス

館内のアーカイブ動画では、2007年型をデザインしたことで知られるロベルト・ジョリートは、ヴィアレッティ社のモカ(家庭用エスプレッソ・コーヒー沸かし)を手にとり、それがイタリア人の朝のスタイルを変えたように、(1957年)500もイタリア人の生活に変化をもたらしたことを示唆している。

同時に、2代目や3代目がノスタルジーによるものではなく、常に進化とより良い生活スタイルを求めた結果であることを強調している。

リンゴット・ビルの屋上ヘリポートでおこなわれた発表会場では、ロックバンド「U2」のボーカリストで、企業の販売収益の一部を慈善活動に役立てる(RED)のコ・ファウンダーであるボノが登場。自身の最初のクルマがフィアット車であったことを明かすとともに、今回の新施設を「セクシーでスマートな計画」と評した。

そうした彼の財団の活動に貢献すべくフィアットは500eをベースに、車体色やシート、アクセレレーション・ペダルなどにレッドを使用したバージョン「ヌウォーヴァ(500)RED」を発表した。イタリア国内価格は2万2800ユーロ。

この記事に関わった人々

  • 執筆

    大矢アキオ

    Akio Lorenzo OYA

    コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。音大ヴァイオリン専攻、大学院で比較芸術学を修める。今思えば最初に覚えたイタリア語は「ルーチェ」「カリーナ」「クオーレ」、フランス語は「シャルマン」と絶版車名ばかり。NHK語学テキストなど連載に加え、NHK「ラジオ深夜便」に出演中。「メトロとトランでパリめぐり」(コスミック出版}をはじめ著書訳書多数。

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