スバル・インプレッサ WRX STi EJエンジンが率いた進撃 唯一のライバルはランエボ ターボ! ブースト!(6)

公開 : 2026.02.28 17:50

動力性能の追求が目的だった「ターボ」 FFハッチバックに四動のラリー・ホモロゲ、RRスポーツまで効果は抜群 技術の恩恵を最も享受したのは日本? UK編集部が各国代表7台のパワーを全開放

ターボ技術による恩恵を享受した日本

自動車のターボ技術による恩恵を最も享受したのは、恐らく日本だろう。ガソリンが高く、排気量で釣り上がる税制のおかげで、2.0L以上のエンジンは庶民に縁遠いものだった。豊かなパフォーマンスは、富裕層の特権といえた。

日本の自動車メーカーが、積極的にターボを採用したことは、自然な流れだといっていい。結果的に、20世紀における最高峰ユニットが数機生まれている。

スバル・インプレッサ WRX STi (初代/1992〜2000年/英国仕様)
スバルインプレッサ WRX STi (初代/1992〜2000年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

先行したのは、トヨタ日産三菱。1970年代後半に開発が始まり、スポーツカーからサルーンまで、国内向けモデルの多くへターボエンジンが採用された。英国では、三菱ランサー・ターボが1981年に上陸。日産280ZX(フェアレディZ) ターボが続いた。

程なくして、ターボエンジンはコンパクトカーにも波及。1982年にはホンダシティ・ターボが登場し、ダイハツもシャレード・ターボを投入している。

インプレッサにも採用されたEJエンジン

スバルがターボエンジンを提供したのは、1982年末。当初は、ブラッドと呼ばれたピックアップトラックと、レオーネ・ワゴンに1.8L水平対向4気筒ユニットが載っている。

16バルブの「EJ」エンジン誕生は、1989年の初代レガシィで。2.0Lから220psを引き出し、優れた四輪駆動システムと相まって、0-100km/h加速7.0秒の俊足を誇った。

スバル・インプレッサ WRX STi (初代/1992〜2000年/英国仕様)
スバル・インプレッサ WRX STi (初代/1992〜2000年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

1990年には、英国のプロドライブ社の協力を得ながら、スバルは世界ラリー選手権へ挑戦。レガシィのグループAマシンは、グラベル・ステージで確かな強さを発揮し、ドライバーのコリン・マクレー氏は1991年と1992年に英国ラリーで優勝している。

そしてEJエンジンは、1990年発売のインプレッサにも採用。ビスカスカップリング制御の四輪駆動システムも、構造的にはレガシィ譲りといえた。

ラリーでの活躍が導いた進化の快進撃

1992年末に、インプレッサ WRXが日本市場へ投入される。世界ラリー選手権のホモロゲーション取得へ向けて生まれた高性能版で、開発にはプロドライブ社も関与。英国では、1994年からインプレッサ・ターボ2000の名で売られている。

ここから、インプレッサの快進撃は続いた。1994年には、スバルのモータースポーツ部門の名を掲げた、STi仕様が登場。1995年から1997年にコンストラクターズ・タイトルを3連覇する傑作マシンの、市販版といえた。

スバル・インプレッサ WRX STi (初代/1992〜2000年/英国仕様)
スバル・インプレッサ WRX STi (初代/1992〜2000年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

EJエンジンは、鍛造ピストンと、専用のターボやインタークーラーで強化。最高出力は、275psへ引き上げられた。標準で直径75mmあるテールパイプが後ろ姿を引き締め、サスペンションとトランスミッションも通常とは異なった。

日本仕様のレッドラインは、8250rpmと驚異的なもの。低域トルク重視の、英国仕様のターボ2000とは対照的だった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    コリン・グッドウィン

    Colin Goodwin

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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