新型アウディRS3スポーツバックへ試乗 主役は400psの5気筒ターボ 後編

公開 : 2021.11.06 08:26

アウディ最新のホットハッチ、RS3が登場。度肝を抜く動力性能はそのままに、高次元の操縦性を得たと英国編集部は評価します。

劇的な走りを披露できる多様性

執筆:Matt Saunders(マット・ソーンダース)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
最新のアウディRS3に装備される電子制御のリアデフは、ハードウェアとしては、最新のフォルクスワーゲン・ゴルフRに搭載されるものと基本的に同じ。リアタイヤ左右のいずれかへ、リアアスクルへ割り振られるトルクのすべてを伝達できる。

メカニズムだけでなく、デザイン面でも抜かりはない。ボディもインテリアも、A3より明らかに好戦的に仕上げられた。ただし、普通に運転している限り、それほど感情的な印象は受けない。

アウディRS3 スポーツバック・フォアシュプルング(欧州仕様)
アウディRS3 スポーツバック・フォアシュプルング(欧州仕様)

試乗車に装備されていたアダプティブ・スポーツサスペンションは、穏やかなドライビングモードを選んでいれば、しなやかな乗り心地を提供してくれる。ステアリングは程よく軽く、始めの反応はマイルド。切り込むほどに、シャープさが高まっていく。

市街地では、通常のアウディA3のように運転できる。しかも、然るべき場所では劇的な走りを披露できる、多様性も備えている。

先代のRS3も充分に速かったが、操縦の俊敏さという点では、ライバルモデルへ一歩届かずにいたと思う。だが最新のRS3は、理想的とまではいえないものの、大幅に改善されている。

クワトロ・システムがトルクを前後左右に分配し、クルマの姿勢を調整することで、長く続く高速コーナーなどでのバランスは向上。スポーツ度の高いドライブモードを選択すると、遥かに鮮明で感触の濃いステアリングフィールも得られるようになっている。

運転運転で支配的なエンジンの存在感

最新のRS3は従来以上にフロントタイヤの反応が鋭く、グリップ力も高い。一方、タイトコーナーでリアを自由に振り回すには、フロント側への負荷を従来以上に高める必要がある様子。

自然な回頭性を味わえるものの、すべての能力を引き出すことは難しい。トルクベクタリング機能を備える四輪駆動のホットハッチでは、共通する特性ではあるのだが。

アウディRS3 スポーツバック・フォアシュプルング(欧州仕様)
アウディRS3 スポーツバック・フォアシュプルング(欧州仕様)

姿勢制御は引き締められているだけに、路面の影響を受けやすく、乗り心地に落ち着きはない。知的な四輪駆動システムは、不自然さを感じさせることなく操縦性を深めている。

今回の試乗では、アウディは2種類のサーキット・ドライブも準備していた。コーナーでの操縦性を確かめるだけでなく、ドリフトも楽しめるように。

実際、定常円旋回をするような一定のカーブでは、RSトルク・リアと呼ばれるドライブモードを選ぶことで、深い角度でのドリフトを簡単に維持することができた。手のひらで、カウンターステアを当て続けるだけだ。

2.5L 5気筒ターボエンジンが放つ独特のサウンドも、リアリティを増した。スピードだけでなく、ドラマチックさという点でも増強されている。

中回転域では、インプットに対して僅かなターボラグも感じられなくはない。だが、ひとたびブースト圧が高まれば、意欲的にパワーが放たれる。静止状態からの加速は、アクセルペダルを踏み込んで1秒ほど経ってから、本領の勢いが得られるようだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

400psの5気筒ターボ 新型アウディRS3 スポーツバックへ試乗 主役はエンジンの前後関係

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