マクラーレン765 LT スパイダーへ試乗 限定765台 クーペと遜色ない走り

公開 : 2021.12.17 08:25

マクラーレン765 LTに、スパイダーが登場。限定765台の最高のドライバーズカーを、英国編集部が評価しました。

マクラーレン最速のスパイダー

なにやら最近、マクラーレンが騒がしい。CEOを8年間務めたマイク・フレウィット氏の辞任をきっかけに、ブランドの将来を不安視する噂も聞こえてくる。

とはいえ、スポーツカー・メーカーとしてのマクラーレンに変わりはないようだ。モデルラインナップを増やし続けようという姿勢には、まったくブレが見られない。

マクラーレン765 LT スパイダー(欧州仕様)
マクラーレン765 LT スパイダー(欧州仕様)

新モデルのマクラーレン・アルトゥーラへの期待が高まるところだが、今回試乗を許されたのは、2021年夏に発表された765 LT スパイダー。サーキット走行に軸をおいた、ロングテール(LT)版のフラッグシップとなる、コンバーチブル仕様だ。

マクラーレンによれば、過去に同ブランドが生産したコンバーチブルのなかで、最速に位置付けられるという。加えて、ドライバーとの一体感の更なる向上も約束している。

765 LTの没入感と興奮度は、ずば抜けたものだった。それを更に上回るというのだから、かなりの自信作といえるのだろう。

メカニズムとしては、スパイダーも基本的にクーペの765 LTとほぼ同じ。765psを発揮する、V型8気筒4.0Lツインターボ・ガソリンエンジンを車体中央に搭載している。

サスペンションのスプリングとダンパーは765 LTの専用で、720Sより車高が落とされ、トレッドは拡大。互いにリンクした油圧アクティブ・タンピング・コントロールシステムの設定も、特別に仕立てられている。

スパイダーの走りに知覚できる違いはない

マクラーレンのスパイダーとして電動フォールディング・ハードトップを搭載し、ドライバーの後方へルーフが格納されるのに必要な時間は11秒。折りたたみ構造の採用などで重量は増えているが、違いは49kgに留まる。

765 LTの車重は1388kg。少しマイルドな720S スパイダーより、80kgも軽い。

マクラーレン765 LT スパイダー(欧州仕様)
マクラーレン765 LT スパイダー(欧州仕様)

大きなウエイト変化を生まずに済んだ理由は、強固なカーボンファイバー製タブにある。基本的に、シャシー周りの改良は必要なかったそうだ。

アクティブ・リアスポイラーの制御は、フォールディング・ハードトップ化に伴い変更を受けている。ルーフが開閉することで発生する気流変化に対応するため、スポイラーの角度が煮詰められたという。マクラーレンらしい。

今回試乗のために招待されたのは、スペイン北部にあるナバラ・サーキット。クーペ版の765 LTとの違い確かめるのに、不足ない環境だ。

ルーフを閉じた状態で、低い位置のドライバーズシートへ座る。マクラーレン流の足を伸ばしたドライビングポジションに収まる。

果たして、クーペとスパイダーとの間に、知覚できるような違いはないといっていい。圧倒されるほどに素晴らしい。

油圧アシストのステアリングは、非の打ち所なく正確で感触に優れる。タイヤのグリップ力とシャシーのバランスに長け、周回を重ねるほどにより速く、よりハードに運転することを許してくれる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・ディスデイル

    James Disdale

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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