アウディA3 スポーツバックへ試乗 デザインとパフォーマンス 実力派の新世代 後編

公開 : 2021.12.18 08:26

現代のアウディらしいデザインをまとい、動的能力を向上させモデルチェンジしたA3。英国編集部が評価しました。

コーナリング時の安定性は向上

4世代目へとモデルチェンジしたアウディのハッチバック、A3 スポーツバック。ドライブセレクトと呼ばれるドライブモードは、エントリーグレードから標準装備される。ステアリングホイールを回した時の感触などを、変えることができる。

明確な違いを得られるのは、スポーティなダイナミック・モード。ただし、ステアリングホイールの重みが増すのと同時に、あまり望ましくない抵抗感も発生するようだった。デフォルトの方が、筆者好みではあった。

アウディA3 スポーツバック 35 TFSI Sライン(欧州仕様)
アウディA3 スポーツバック 35 TFSI Sライン(欧州仕様)

新しいA3のオプションとして検討したいアイテムが、アダプティブサスペンション。ダンパー内に新設計のバルブを備えたシステムで、従来のダンパーよりコンフォートとスポーツとの減衰力の変化幅が大きくなっている。車高も10mm低くなる。

可変式ではない標準のダンパーを組んだA3と乗り比べてみると、その違いは歴然だった。とはいえ、標準でも姿勢制御と乗り心地とを不満なく両立させてはいる。マストなアップグレードとまではいえないだろう。

全幅と同時に左右のタイヤの間隔、トレッドも従来のA3から11mm広げられた効果もあって、コーナリング時の安定性は向上した様子。コーナリングスピードを増しつつ、横方向のロールも充分に抑制されている。

控えめなA3は賢明な選択肢

一方で、サスペンション自体の洗練度はグレードで異なる。最高出力が150ps以下のA3 スポーツバックの場合は、リア・サスペンションにコスパ重視のトーションビーム式が与えられるためだ。

150ps以上のモデルには、左右で独立したマルチリンク式が備わり、質感は良い。フロントは共通でマクファーソンストラット式となる。

アウディA3 スポーツバック 35 TFSI Sライン(欧州仕様)
アウディA3 スポーツバック 35 TFSI Sライン(欧州仕様)

Sラインを選ぶと、スポーティに引き締められたダンパーと、15mm車高が落ちるスプリングが組まれる。重心位置を下げることにもつながる。

4世代目A3のエンジンは、すべてのユニットで設計の見直しが施された。英国に導入されるA3では、115psを発揮する2.0L 4気筒ディーゼルターボの30 TDIがエントリーユニット。先代の1.6LTDIユニットと同等の馬力だが、たくましい加速を叶えている。

このエンジンは、高めの速度域との相性が良い。6速MTを組み合わせれば、控えめなA3が賢明な選択肢であると、実感できるはずだ。

2.0L 4気筒ディーゼルターボの35 TDIは、従来以上にディーゼルらしいカラカラとした音が抑えられている。回転フィールも滑らかさを増したように感じた。排気ガスに含まれるNOxの排出量を抑えるため、2度噴射されるアドブルーシステムも搭載される。

アウディがSトロニックと呼ぶ、7速ATと組み合わせれば、長距離ドライブに理想的なファミリー・ハッチバックになってくれるだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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