メルセデス・ベンツCクラス C 300dへ試乗 ハイテクでパワフル 豪華な車内

公開 : 2021.12.20 08:25

新型Cクラスの上位に位置する300d。力強さと上質な車内を評価する一方、乗り心地では220dだと英国編集部は評価します。

2.0L 4気筒ツインターボを積む300d

最新のメルセデス・ベンツCクラス。グレード名は300dを名乗っていても、もはやクリーミーな3.0Lディーゼルターボは搭載されていない。BMWは、330dに3.0Lの直列6気筒を載せているけれど。

今のところ、最新のCクラスはグレードを問わず4気筒エンジンしか選択肢にない。そのかわり洗練性を磨いてきた。数字に違わない印象を与えるために。

メルセデス・ベンツC 300d サルーン AMGライン・プレミアムプラス(英国仕様)
メルセデス・ベンツC 300d サルーン AMGライン・プレミアムプラス(英国仕様)

最もパワフルなCクラスのディーゼル版に搭載されるのは、2.0Lの4気筒ツインターボと、電圧48Vで稼働するスターター・ジェネレーター(ISG)だ。マイルド・ハイブリッドで、システム総合264psと56.0kg-mを発揮する。

近年のクルマの場合、エンジン以上に注目を集める要素になっているといえるのが、インフォテインメント・システム。新しいCクラスには、優れた最新版のMBUXシステムがインストールされている。

とはいえ、ドライブトレインやサスペンションなど、従来的なコンポーネントも外せない要素に変わりはない。自動車として。

今回試乗したのはC 300d。英国の一般道では初めての運転となる。ただし試乗車は暫定的な仕様で、AMGライン・プレミアムとAMGライン・プレミアムプラスのミックス状態だった。

英国仕様の場合、C 300dはスポーツサスペンションに18インチか19インチのアルミホイールが組まれる、AMGラインのみで提供されるという。試乗車が実際にディーラーで選べる内容に近かったとは、いえるだろう。

滑らかなパワートレイン 少々硬い乗り心地

Dセグメントのサルーンとして、BMW 3シリーズといえば、硬めの乗り心地に魅力的なドライビング体験。Cクラスといえば、他を寄せ付けない洗練度に丸みを帯びた走り、という位置付けが定評だと思う。

ところがスポーツサスペンションを備えるC 300dでは、大きなホイールに薄いタイヤを履くためか、路面の凹凸をいなし切ることが難しい様子。舗装が波打つような区間では、落ち着きも欠いていた。平滑に均すというより、不整をなぞるような印象だった。

メルセデス・ベンツC 300d サルーン AMGライン・プレミアムプラス(英国仕様)
メルセデス・ベンツC 300d サルーン AMGライン・プレミアムプラス(英国仕様)

先代のCクラスではオプションでエアサスペンションを選択できたが、新型では選べない。細かな入力と大きな入力とで減衰力が変化する、セレクティブ・ダンピングシステムと呼ばれるサスペンションが標準となる。

アダプティブダンパーが、英国以外では提供されている。Cクラスに必要な装備だと思うから、設定を再考していただきたいところだ。

ステアリングは好感触。操舵時の重み付けに優れ、正確性が高く回頭性も良い。ただし、濃密なドライバーとの一体感を求めるなら、ライバルとの比較をオススメする。

エンジンとトランスミッションは、伝統あるメルセデス・ベンツらしい。非常にたくましく、状況を問わず不足は感じない。サウンドは典型的な4気筒ディーゼルだが、粗野な音質というわけではない。とはいえ、もっと静かなユニットがあることも事実だ。

電圧48VのISGはエンジンと協調し動き、9速ATの変速も滑らか。惰性走行時はエンジンを休止させ、燃費向上につなげてくれる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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