ランドローバー・レンジローバー CSK キングへ捧ぐ200台限定 最速の3ドア 前編

公開 : 2022.01.08 07:05

正式モデルとしては当時の最速

フロントにはベンチレーテッド・ディスクブレーキを搭載。スプリングとダンパーも引き締められ、舗装路での走りを向上してある。それでいて、高い評価を得ていた悪路性能や、しなやかな乗り心地が失われてはいない。

レンジローバー CSKが公に姿を現したのは、1990年のバーミンガム・モーターショー。その6か月後には、それらの装備が5ドアのレンジローバーにも標準装備となっている。

ランドローバー・レンジローバー CSK(1991年/英国仕様)
ランドローバー・レンジローバー CSK(1991年/英国仕様)

パワーユニットは、オールアルミ製のV型8気筒。ローバー社によるもので、排気量は3.9L、最高出力は187psを獲得し、正式モデルとしては当時の最速レンジローバーだった。

ECUのマッピングもアグレッシブに書き換えられ、排気ガスを浄化する触媒は付いていない。5速MTが標準で、ZF社製の4速ATもオプションとして用意されたが、人気は低かったようだ。

見た目は、クロームメッキのバンパーにシルバーのピンストライプ、5スポークのアルミホイールでシックにコーディネート。ボディサイドとテールゲートに加えられたCSKのロゴとともに、スペン・キングの偉業を讃えているように見える。

フロントバンパー下のスポイラーには、フォグランプを装備。グリル前のドライビングライトも特徴となる。

車内は、ドアやセンターコンソール、ダッシュボードをアメリカン・ウォールナットのパネルで装飾。シートはベージュのレザーで仕立てられ、通気性を保つためにパンチングが施されている。基本的には、北米仕様のヴォーグSEと同等の内容だ。

スペン・キング本人へも200番が贈られた

装備面では、集中ドアロックとエアコン、サンルーフ、6スピーカーのステレオなどが標準。ドアミラーにはヒーターも内蔵されていた。

ダッシュボード中央のラジオのそばに、シリアルナンバーが記されたプレートがあしらわれている。200台限定のCSKの1台だということを、裏付けるために。

ランドローバー・レンジローバー CSK(1991年/英国仕様)
ランドローバー・レンジローバー CSK(1991年/英国仕様)

すべてが1991年に生産されたが、車両識別番号、VINコードとシリアルナンバーとの並びが一致しないことがわかっている。恐らく、倉庫に停められていたクルマを手前から出庫させ、プレートを張ったためだと考えられている。

レンジローバー CSKは、VINがGAで始まる。多くが英国国内のオーナーに渡ったが、一部はオーストラリアやニュージーランドなど、右ハンドル市場へも輸出された。

ちなみに、スペン・キング本人へは200番のプレートが貼られたCSKが贈られているが、実際は5番目に製造されたものだったという。

クルマ本体だけでなく、特別なプレートがあしらわれた黒い木製ボックスも、マニアにとっては垂涎のアイテム。パンフレットと証明書、スペン・キングのサインなどが納められていた。捨てられずに残っている場合もあるようだ。

今回ご登場願ったレンジローバー・クラシックのCSKを大切に維持しているのは、ピーター・ヴァンデル・ウォルト氏。英国で、南アフリカから取り寄せたクラシックカーを販売する、ウォルト・モーターカンパニー社というディーラーを営んでいる。

この続きは後編にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーティン・バックリー

    Martin Buckley

    英国編集部ライター
  • ジョン・ブラッドショー

    John Bradshaw

    英国編集部フォトグラファー
  • 中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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