新型ホンダ・シビック・タイプR 開発責任者の思い 電動化時代でもタイプRは不滅

公開 : 2022.01.18 05:45

競合は気にしない、タイプRを極める

――ひとことで、このクルマを表現すると?

「タイプRに期待していただいているお客さまに、これは現行車と比べてどれだか良くなったのかと聞かれたら、『ふた皮むけた』と言いたい。それくらい、磨き切った。コンセプトは、アルティメイトスポーツ。究極のスポーツ性を目指したクルマだ」

新型ホンダ・シビック・タイプR
新型ホンダシビック・タイプR

――現状で、ライバル車を含めて、シビック・タイプRの商品としての立ち位置をどう考えているのか?

「(業界内での)立ち位置ということよりも、スポーツ(性能という領域)やモータースポーツはホンダにとって切っても切り離せない。そうした中で、現在のホンダ四輪商品群ではスポーツ(性能を強調するクルマ)が少なくなっている」

「ホンダとして新しいスポーツ(という領域)を背負っているのが、タイプRだ。(そもそも)競合車がどうだとか、気にしたことはない。よそは、よそ。こちらは、タイプRを極めるだけだ」

――そのモータースポーツとの関わりは新型シビック・タイプRとしてどうなるのか?

「いままで以上にモータースポーツとの関係性を高めていく。わたし自身、現行タイプRでスーパー耐久に参戦しているが、お客さまに対しても、量産タイプRを使うモータースポーツ連携の活用方法をもっと広げていきたい」

電動化の中でどう進む?

――電動化が必然となるこれからの時代、タイプRの将来をどう見ているか?

「目的はカーボンニュートラルであり、電動化は(あくまでも)手段だ。タイプRはホンダとしてのスポーツに対する思いを形にしたモデルであり、レシプロ(内燃機関)がなくなるとタイプRがなくなるとは思えない」

新型ホンダ・シビック・タイプR
新型ホンダ・シビック・タイプR

「ホンダが大切にする四輪車のスポーツ性能は、手段変わっても、ずっと生み出し続ける」

――つまり、タイプRは不滅か?

「(ホンダが掲げる2040年EV/FCV100%で)いきなり電動化へシフトするわけでない。内燃機関に対して高い技術があるホンダとして、(水素を活用するなどの)新しいフューエルを含めて、カーボンニュートラルを求めるすべは残っていると思う」

「(そのうえで)タイプRとしてホンダのスポーツを表現するとき、どのタイミングで何がベストかという考え方で、これから進んでいけば良い」

タイプRに向けた思いを、ホンダがユーザーや販売店に対して、これからも丁寧に説明し続けていくこと。それが、タイプR存続にとって最も重要であるのだと、柿沼氏の話を聞きながら感じた。

時代がこれからどう変化していこうとも、ホンダにとってタイプRは必然。

ホンダとしてタイプRをなくしてはならないと、強く思う。

記事に関わった人々

  • 執筆

    桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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