アウトウニオンにサーブ、ネッカー、ランチア 1960年代の小さなファミリーカー 中編

公開 : 2022.02.13 07:06

110km/hでの巡航は可能だが、伸びない燃費

4速MTのシフトフィールが一番良いのは、元フィアット1100のネッカー。ランチアも拮抗している。シフトレバーはゲートに沿って正確に動き、特に考えることなく、自然に変速できる。

アウトウニオンでは、1速が2速の下で、3速は4速の下。シフトの配置が逆で練習が必要だが、レバーの動きも滑らかではない。

アウトウニオン1000 S(1958〜1963年/英国仕様)
アウトウニオン1000 S(1958〜1963年/英国仕様)

サーブはその中間。フリーホイールが備わり、エンジンブレーキは効かないが、クラッチペダルの操作なしにシフトダウンできる。白煙で周囲を霞ませながら進む姿は、さほど速くは見えないけれど。

2ストローク3気筒エンジンは、低回転域では特徴的なバタバタというノイズを放つ。だが、回転数の上昇とともに滑らかさを高め、ノイズも変化。4ストロークの6気筒エンジンのような、美しい声を聞かせてくれる。

トルクが足りない出だしは、確かに賑やか。吹け上がりも鈍く、スピードを乗せていくには積極的な変速操作が必要ではある。それでも、サーブ96ならさほど面倒には感じられない。

アクセルペダルを踏み込むと、サーブもアウトウニオンも110km/hでの巡航が可能。特に気張る必要もない。燃費は9.0km/L前後といったところで、現代の1.0Lエンジンとは比べ物にならないほど悪い。

効率の悪さは、当時でも2ストローク・エンジンの課題だった。給油の度に、エンジンオイルをガソリンに混ぜなければならない手間も。

この続きは後編にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーティン・バックリー

    Martin Buckley

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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