ジープ・コンパス 詳細データテスト 意外にいいボディコントロール 広い室内 ニーズに合えば魅力的

公開 : 2022.02.26 20:25

内装 ★★★★★★☆☆☆☆

最近、フェイスリフトしたジャガーFペイスに試乗したが、インテリアの古びて地味な部分は、高級感と独自性のあるものに差し替えられていた。ジープも同様のことを試みたが、その結果は成功を収めているとは言い難いものだ。

間違いなく、コンパスの内装は変わった。それも、いいほうに。ソフトなマテリアルの採用範囲が広がり、金属調トリムを加えレイヤー構造となったダッシュボードは、以前より見栄えがよくなっている。

マイナーチェンジでデザインは変更されたが、印象に残るほどではない。上質な素材とそうでないものが混在しているのも、チープに感じられてしまう一因だ。
マイナーチェンジでデザインは変更されたが、印象に残るほどではない。上質な素材とそうでないものが混在しているのも、チープに感じられてしまう一因だ。    MAX EDLESTON

また、10.1インチのタッチ式ディスプレイと複数の充電ポート、数多くの実体スイッチを設置し、モダンさと常識的なところを兼ね備えている。

とはいえ、デザイン面の印象が薄いのは相変わらずで、マテリアルや質感がごちゃまぜで、むしろチープに見えてしまう。ステアリングホイールやシフトセレクターなどは、かなりプレミアム感のあるものだ。ところが、泡立ったようなダッシュボード上面やアームレストの薄いレザー、もろそうなミラーのアジャスターなどは、デトロイト空港で借りたレンタカーを思わせる。シートは厚いクッションをかなりグレードの低いレザーで覆っていて、そのイメージを強めている。

事態が改善されるのは、後席に目を移したときだ。多くの競合モデルよりコンパクトなコンパスだが、かなり高めの着座位置と、フロントシート下の十分な足入れできるスペースにより、レッグルームはかなり立派なものになっている。

ヘッドルームは頭抜けたものではないが、パノラミックサンルーフを装着しない限り、そこそこ背の高い大人でも快適に過ごせる余地がある。また、多くのクルマとは異なり、中央席はやや低くなっているので、実用的なものとなっている。

予想下より広かった後席に対し、荷室は思いのほか狭い。ICEモデル比の減少は18Lにとどまるが、ハイブリッドのメカニズムによって荷室の形状はちょっとばかり奇妙なことになっていて、絶対的な容量もとくに大きいとはいえない。

フロアはフラットになるパネルが張られ、その下に充電ケーブルを収納できるので、使い勝手はまずまずいい。とはいえ、これより荷室の大きいクロスオーバーがあることもまた事実だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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