ジープ・コンパス 詳細データテスト 意外にいいボディコントロール 広い室内 ニーズに合えば魅力的

公開 : 2022.02.26 20:25

走り ★★★★★★★☆☆☆

240psというシステム出力は、ミディアムクラスのクロスオーバーには十分すぎるように思える。1872kgのテスト車に燃料タンク半分のガソリンは、多少なりとも楽しさを削いでしまうが、それでも加速テストでは、0−100km/h=6.7秒をマークした。

これは、ホットハッチヒョンデi20 Nにもそれほど後れを取らない性能だ。また、同じPHEVレンジローバー・イヴォークやプジョー3008と比べれば、ゼロスタートでも中間加速でも凌いでいる。

自動変速で美味しい回転域を保つのは難しいが、手動変速にすればそこは問題ない。そのトランスミッションのセッティング以外、パワートレインに不満はないといっていい。
自動変速で美味しい回転域を保つのは難しいが、手動変速にすればそこは問題ない。そのトランスミッションのセッティング以外、パワートレインに不満はないといっていい。    MAX EDLESTON

とはいえ、日常使いで速くは感じられないのだ。原因は、ギアボックスにある。おそらくはハードウェアではなく、その設定に理由があるのだと思われる。というのも、6速のトルクコンバーターATの変速そのものは、なめらかで素早いからだ。

問題は、回転を極端に低く保ったり、レッドラインまでノイジーに回したりすることにある。

中回転域で苦もなく突き進めるスイートスポットはあるのだが、そこを使うのをソフトウェアがひどくいやがるのだ。それをするにはマニュアルモードを使うしかないが、その機能ぶりは上々で、鋭いレスポンスをみせ、エンジンはレブリミットまで駆け上がる。しかし、それはハイブリッドのクロスオーバーの走らせ方としてふさわしいとはいえない。

思い通りにいかないトランスミッションは、そのほかがよくできているパワートレインの足を引っ張っている。たとえば、エンジンとモーターとの動力切り替え時にも、ギクシャクした動きは発生しない。

どのパワーソースを用いるか、それを選ぶのも楽だ。ハイブリッド/エレクトリック/Eセーブの各モードには独立したボタンが用意されているので、複雑なメニュー画面や各モードの切り替えがループするスイッチひとつより簡単に操作できるのである。

それに、Eセーブモードはなかなか役に立つ。走行中にバッテリーの充電レベルを一定に維持したり、充電したりすることができる。モーター駆動を使わない分だけ動きが多少は緩慢になるが、充電量が一定レベルを保つので安心できる。

モーター出力は60psしかないので、エレクトリックモードでの走りはそれほど活発ではない。しかし、25.4kg-mのトルクによって、普通に走る分にはほぼ満足できる。電力だけで高速道路に合流するにはやや工夫が必要となるが、流れに乗ってしまえば、113km/hの巡航速度を保つのに問題はない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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