ガヤルドと親戚関係 アウディR8(初代) 英国版中古車ガイド 今後の価値上昇も

公開 : 2022.03.16 08:25

ランボルギーニと主要部分を共有したR8。実用的なネオクラシック・スーパーカーを、英国編集部がご紹介します。

ガヤルドと主要部分を共有するR8

2005年当時、アウディポルシェ911に対峙できるミドシップ・スーパーカーを発売し、大成功すると聞いて、信じた人はどの程度いただろう。ハイパフォーマンス・モデル市場に与えるインパクトを、予想することは難しかった。

われわれの考えを良い意味で裏切ってくれたのが、初代アウディR8だ。スリリングなドライビング体験と、舌を巻くような普段使いのしやすさとが同居している。アウディのマスターピースといっても、過言ではない。

アウディR8(初代/2006〜2016年/英国仕様)
アウディR8(初代/2006〜2016年/英国仕様)

歴史あるドイツのフォーリングス・ブランドは、同じフォルクスワーゲン・グループの傘下になったイタリアン・ブランドから力を借りた。ご存知、ランボルギーニだ。

アルミニウム製のスペースフレーム構造は、基本的にガヤルドと同じもの。ガラス製エンジンカバーの内側には、こちらもガヤルドと主要部分を共有する、V型8気筒が誇らしげに姿を見せていた。

アウディとランボルギーニとで、明らかに差別化されていたのが販売価格。2007年のR8の英国価格は7万6825ポンドで、ガヤルドより約3万ポンドも安かった。

初代R8が初めに搭載したのは、自然吸気の4.2L V8エンジン。最高出力420psを発生し、レッドラインは8500rpmに設定された。

これはガヤルドだけでなく、同時代のアウディRS4にも搭載されたユニット。燃費は期待できなくても、回りたがりな性格とドライな咆哮で、ドライバーを満たした。トランスミッションは7速セミオートマティックに加えて、6速マニュアルも選択可能だった。

動的能力と乗りやすさとの高バランス

さらにもっと、を求めた市場へ応えるように、2009年に525psを発揮した5.2L V型10気筒エンジンが追加。これもガヤルドからの派生ユニットで、0-100km/h加速時間はV8の4.2秒から、3.9秒へと短縮している。

2013年には、550psを発揮するR8 V10プラスが登場。0-100km/hダッシュを3.5秒でこなす俊足を得た。このV10プラスでは、50kgの軽量化に加えて、専用のサスペンション・チューニングと、カーボンセラミック・ブレーキも獲得している。

アウディR8(初代/2006〜2016年/英国仕様)
アウディR8(初代/2006〜2016年/英国仕様)

スーパーカーは加速力だけでなく、シャープでコレクトな操縦性も重要。もちろん、R8はその点でも見事だった。

アウディらしく四輪駆動システムのクワトロを搭載していたが、リアタイヤ側へトルク配分の軸が置かれており、より自由度の高い操縦性が与えられていた。俊敏なだけでなく、バランスも秀逸だった。

油圧アシストのステアリングは、操る自信を沸き立たせてくれる重み付けで、感触も豊か。クルマとドライバーとの、理想的なコミュニケーション・デバイスといえた。

カーブの続く山岳地帯の道でも、サーキットでも、ステアリングホイールを握れば誰もが夢中になってしまう。それでいてアウディらしく、快適性や乗りやすさもクラスでは突出していた。走り一辺倒の、スパルタンなモデルとは違っていた。

インテリアは広々としていて、豪華な仕立てでありながら実用的。ダッシュボードのデザインも整然としており、派手すぎず使いやすい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事

 

アウディの人気画像