スバル・ソルテラ・プロトタイプ試乗 BEVの美点、「シームレス感」強し

公開 : 2022.03.09 07:00

スバル・ソルテラ・プロトタイプに試乗。都会とアウトドアの中間を狙ったBEVは、シームレス感が強く上質な仕上がりです。

RAV4似 XVの雰囲気も

昨年12月に発表されたトヨタの電動化戦略。

豊田章男社長の後ろにずらりと勢ぞろいしたBEVのコンセプトカーの中で最初に量産化される1台がミドルサイズのクロスオーバーSUVであるbZ4Xだ。

スバル・ソルテラ・プロトタイプ
スバルソルテラ・プロトタイプ    神村聖

一方今回、雪深い群馬サイクルスポーツセンターで試乗することができたスバル・ソルテラは、bZ4Xと基本設計を共有するスバル版である。

両社にとって初のBEVリリースとなる今回の2台は、GR 86とスバルBRZという兄弟車と同様にトヨタとスバルのアライアンス開発によって生み落とされているのである。

BEV専用開発のプラットフォームを採用しているというが、bZ4Xはガソリン車であるRAV4によく似たスタイリングであり、ソルテラにもその影響が感じられる。

ソルテラのボディサイズはスバルで言えばフォレスターと同等。

イメージカラーであるハーバーミストグレーパールのソルテラはXVの流れを汲んだモデルという解釈もできそうだ。

今回は発売前ということもありプロトタイプということだったが、内外装を見る限りほぼ完成しているように見えた。

ツルッとしたパネルで塞がれたフロントグリルがEVらしさを強調し、一方無塗装のフェンダーアーチやサイドシルがSUVらしさを醸し出す。

スバルのエンジニアいわく「弊社のクルマはアウトドアのイメージが強いが、ソルテラは都会とアウトドアの中間を狙った」とのこと。

ではさっそく乗り込んでみよう。

BEVの美点、シームレス感強し

室内で最も印象的な個所はステアリングとメーターナセルの位置関係だ。

ダッシュボードから一段と奥まった場所、フロントガラスに近い位置にメーターが据えられ、ドライバーは小径気味のステアリングの上からメーターを視認するかたちになる。

スバル・ソルテラ・プロトタイプ
スバル・ソルテラ・プロトタイプ    神村聖

つまりプジョーと同じスタイルなのだが、先達とは違い違和感はほとんどなかった。

床下電池パック+前後モーターによるAWDというBEVの王道レイアウト。

つまり車体中央にプロペラシャフトも排気管も通す必要がないのだが、シフト、ドリンクホルダー、ひじ掛けから成るセンタートンネルはまぁまぁ立派。非常に広いリアシートの足元は完全なフラットになっている。

今回の試乗ステージである山岳サーキット「群サイ」はクルマ1.5台分ほどのラインが除雪されている程度で、ペースを上げるのは難しかった。

圧雪路なので路面からの入力は小石が転がるダートに似ている。試乗時間も短かった。

だがそんな限られた状況下ではあったが、スバル初のBEVとしての完成度の高さはうかがえた。

そのドライビングフィールは「シームレス」ということ一言に集約できる。

操舵系や駆動系といった個々の動きがギクシャクしていないのはもちろんだが、操舵しながら加速、減速しながら切り返しといった一連の動きの機構的な連結感が非常に強く、スキがない。

BEVでは珍しいことではないが、変速機がなく、最初からフルパワーを発揮するモーターの美点が上手く表れていると感じた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。

関連テーマ

おすすめ記事