BMW、アルピナをグループの一員に 商標権取得でグループ再編 60年の関係に新たな一歩

公開 : 2022.03.11 23:05  更新 : 2022.03.11 23:05

BMWグループは、密接な協力関係にあるアルピナの商標権を取得。既存の協力協定は2025年に失効します。

アルピナの業務を内製化 新たな協力関係に発展

BMWは、自動車メーカーのアルピナを、高級車ラインナップの一員として加えることにした。

アルピナは、ドイツ・ブッフローエに本社を置くブランド。BMWの市販モデルをベースとした独自モデルやパーツなどを生産している。

アルピナB8グランクーペ
アルピナB8グランクーペ

両社は、1964年にBMWがアルピナ製コンポーネントを装着した車両に純正保証を適用して以来、密接な関係にあるが、アルピナはこれまで独立した企業として運営されてきた。

アルピナは、BMWに商標権を譲渡することで「高級車ラインナップにさらなる多様性をもたらす」とコメント。アルピナのモデルがいずれBMWのモデルとともにショールームに並ぶ可能性がある。

両社はすでに公式な協力協定を結んでいるが、この協定は2025年12月31日に失効する。それまでは、アルピナがBMWのベースモデルを譲り受け、ブッフローエのワークショップで機械的/デザイン的にモディファイするという、ほぼ現在と同じ業務を継続する。

この買収は、まだ「さまざまな停止条件」があるが、BMWの機械的アップグレードに追いつく投資をする必要がないため、「アルピナの長期的な将来を確保する」ことにもなると言われている。

譲渡の金銭的条件は明らかにされていないが、BMWはアルピナの株式を一切取得しないことを認めている。

BMWは、アルピナの単独事業の廃止が「ブッフローエ工場の雇用に影響を与える」としているが、該当する従業員を2025年末までにBMWグループ内、またはサプライヤーやパートナー企業で雇用することを約束した。

現在、ブッフローエの施設では約300名が働いている。

BMWの販売担当責任者であるピーテル・ノータは、次のように述べている。

「自動車業界は、持続可能なモビリティに向けた大規模な変革の真っ只中にあります。そのため、既存のビジネスモデルは定期的に見直す必要があります。アルピナは50年以上にわたり、細部への細心の注意を払うことで最高品質のクルマを提供してきました」

「BMWグループもまた、想像力をかきたてるクルマに対する情熱によって動かされているのです。だからこそ、わたし達は長年のパートナーシップに新たな一歩を踏み出すことになりました」

「商標権を取得することで、伝統に彩られたこのブランドの長期的な方向性を形作ることができます」

アルピナ・ブルカルト・ボーフェンジーペン有限/合資会社CEOフローリアン・ボーフェンジーペンは、次のように述べている。

「私たちの家族と従業員は、今まで同様に最高水準のエンジニアリングクオリティを提供し続けるでしょう」

「そして、われわれの事業は、やがてエンジニアリングサービスへとシフトしていくでしょう」

「この戦略的な事業再編によって、ブッフローエは、将来にわたり安定するはずです」

また、

「アルピナの持つブランド力と魅力は、皆さんよくご存知のことだと思います。私たちは、BMW以外の自動車メーカーにアルピナを譲渡するつもりは毛頭ありませんでした。なぜなら、何十年にもわたり、私たちはお互いに信頼関係を築き、協力しあってきたからです」

「ですから、今回の戦略的決断により、この先、BMWグループがアルピナブランドを運営していくことはとても自然なことだと捉えています」

ともコメントしている。

アルピナのモデルは、パワーやスピードといった性能の面ではBMWとMの中間に位置している。昨年は、過去最高の販売台数を記録し、日本/欧州/米国/中東向けに2000台を生産した。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ。テレビゲームで自動車の運転を覚えた名古屋人。ひょんなことから脱サラし、自動車メディアで翻訳記事を書くことに。無鉄砲にも令和5年から【自動車ライター】を名乗る。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴとトマトとイクラが大好物。
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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