M3用6気筒エンジンの駿馬 BMW Z3 M アナログなFRの魅力 英国版中古車ガイド

公開 : 2022.04.20 08:25

アナログな素晴らしいドライバーズカー

当時はまだM部門の活動は今ほど幅広くなかったが、パワフルな自然吸気エンジンという存在は、現行モデルでは入手困難。アナログなZ3 Mと最新のZ4 M50iとを乗り比べれば、その違いに驚くことだろう。

現在の英国の中古車市場を俯瞰すると、状態の良い例ではZ3 Mクーペに6万ポンド(約960万円)以上の価格が付いている例もある。だが、条件を緩めれば1万8000ポンド(約288万円)程度から悪くないロードスターが見つかるようだ。

BMW Z3 Mロードスター(1997〜2002年/英国仕様)
BMW Z3 Mロードスター(1997〜2002年/英国仕様)

価格帯はS50エンジンのロードスターが1番手頃で、S54エンジンのクーペが最も高い。とはいえ、どちらを選んでも素晴らしいドライバーズカーに乗れることには間違いない。新車のマツダMX-5(ロードスター)に並ぶ価格は、うれしい悩みといえる。

新車時代のAUTOCARの評価は

驚異的なスピードで長距離を疾走できる。動力性能だけでなく強力なブレーキやグリップには、かなりの腕利きドライバーでも感動を覚えるだろう。BMWの技術の高さが光る、大胆なマシンだ。

一方で、ロータス・エリーゼポルシェボクスターとは異なり、多くのドライバーが恋に落ちることはないかもしれない。自慢できる能力の持ち主でありながら、ルックスには否定的な人もいるだろう。 (1998年1月28日)

BMW Z3 Mロードスター(1997〜2002年/英国仕様)
BMW Z3 Mロードスター(1997〜2002年/英国仕様)

購入時に気をつけたいポイント

エンジン

エンジンオイルの交換は、S50エンジンで1万1000km毎、S54エンジンでは1万8000km毎の指定となっている。アイドリング時にカチカチという音が大きく聞こえる場合、バルブクリアランスの調整が必要かもしれない。

S50エンジンでは、ヴァノス・ユニットの故障も疑われる。ソレノイドのOリングが劣化し、オイル漏れする場合もある。また、スロットルケーブルが伸びてしまうことがある。交換は簡単だ。

トランスミッション

BMW Z3 Mクーペ(1998〜2002年/英国仕様)
BMW Z3 Mクーペ(1998〜2002年/英国仕様)

シフトレバーが、やる気なさそうに5速の方へ傾いている場合、リターンスプリングの劣化のサイン。交換費用は高く付く。1速と2速が入りにくいのは、クラッチホースの加熱でトランスミッション内の油圧が下がることが原因かもしれない。

ディファレンシャルのマウントが劣化すると、荷室フロアに当たり、変形させることがある。劣化状態は確認しておきたい。

サスペンションとブレーキ

サスペンションのアッパーマウントは、10万km前後でだめになる。路面の段差などを通過して、異音が出ていないか確かめる。ダンパーは、ビルシュタイン社製などにアップグレードされている例も少なくない。また、ブレーキキャリパーは固着しがち。

ボディ

基本的には錆びにくく、目立って傷んでいる場合は過去の事故が原因かも。リアフェンダーやサイドシル、ボンネットの前端部分などは、錆びやすいポイントではある。クーペの場合は、リアガラス周辺のゴムシールやリアワイパーの状態も確認ポイント。

インテリア

シートにガタが出ていないか、パワーウインドウが軽快に上下するか、ライトスイッチが故障していないか、各部を触れて確かめる。ドアやフロントガラスの上部など、ゴムシールが劣化していないか確認する。水漏れの原因となる。

ソフトトップは、プラスティック製のリアウインドウが劣化すると白濁してくる。表面を磨いて寿命を伸ばすことは可能。ソフトトップ自体は堅牢で、交換を迫られる率は低いようだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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