FRの2シリーズ登場を喜ぶ BMW M240i x ポルシェ718ケイマン x AMG CLA 45 3台乗り比べ 前編

公開 : 2022.04.23 09:45

BMW 2シリーズのクーペが、FRをキープし一新。競合モデルとの比較で、英国編集部がお互いの魅力を探ります。

FRを全身で表現するプロポーション

最近のBMWは変わったな、とお感じの読者もいらっしゃるだろう。個性的なスタイリングに、巨大なキドニーグリル。車重がかさむ大柄なクロスオーバーたち。純EVへのシフトも急速に進んでいる。

そのすべてが備わるのは、iXだろう。BMWではあるが、われわれの知っているBMWではない。M3 コンペティションやM5 CSというスーパーサルーンはあるものの、手が届く価格帯にはない。でも、まだ諦めなくて大丈夫なようだ。

パープルのBMW 240i xドライブ・クーペと、ブラックのメルセデスAMG CLA 45S 4マティック+ クーペ
パープルのBMW 240i xドライブ・クーペと、ブラックのメルセデスAMG CLA 45S 4マティック+ クーペ

G42型の2シリーズ・クーペが、期待へ応えるように登場した。長めのボンネットを持つプロポーションは、縦置きエンジンの後輪駆動であることを、全身で表現している。クリーンなデザインをまとい、大きすぎないキドニーグリルがくり抜かれている。

ここで簡単に、コンパクトなBMWの近年の流れを振り返ってみよう。それまでフロントエンジン・リアドライブ(FR)だった1シリーズ・ハッチバックが、フロントエンジン・フロントドライブ(FF)へ切り替わったのが2019年だった。

1年後、2シリーズ・グランクーペがFFで登場。さらに2シリーズ・アクティブツアラーも、FFで投入された。

その頃は、フェラーリアストン マーティンも愛するFRを、あっさり捨ててしまうのかとも考えられた。FRの2シリーズ・クーペが消えても、驚かないような状況だった。

しかし、BMWは過ちを侵さなかった。全力のM2ではない、少し控えめで小さな2シリーズにはもう乗れないのかと心配していたが、杞憂で終わったらしい。

373psの直6ターボに8速ATで四輪駆動

BMWのM部門は、2022年に50周年を迎える。それを祝うように、M2が年末に控えている。それまでの間は、M240i xドライブが前夜祭のようにわれわれを楽しませてくれる。英国価格は、4万5795ポンド(約732万円)からだ。

2シリーズのクーペでは、それ以外の2シリーズと異なり、4シリーズと同じCLARプラットフォームが基礎に選ばれた。ハードウエアの構成も、より純粋に仕上がっている。

BMW 240i xドライブ・クーペ(英国仕様)
BMW 240i xドライブ・クーペ(英国仕様)

エンジンルームは大きく、373psを発揮する直列6気筒ターボエンジンを縦向きに搭載できる。もちろん、よりコンパクトな4気筒エンジンも。M240i xドライブの場合は四輪駆動が標準で、トランスミッションは8速オートマティックのみとなる。

既にAUTOCARでは、試乗を済ませている。運転が楽しいドライバーズカーとしての素質はそのままに、ジュニア・グランドツアラーとしての能力が高められたと感じた。印象はかなりイイ。

素の状態のM240i xドライブ・クーペには、19インチのホイールへ、ピレリPゼロ・タイヤが巻かれている。Mアダプティブ・サスペンションは500ポンド(約8万円)のオプションで、標準では2モードのMスポーツ・サスペンションが組まれる。

英国仕様の場合、電子制御のMスポーツ・ディファレンシャルと、Mスポーツ・フロントシートが標準装備。サンダーライド・メタリックと呼ばれるパープルが、BMWの推しのカラーだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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