【現実の環境でテスト】ボルボC40リチャージ・ツイン 一般道/高速道路/峠道で検証

公開 : 2022.05.17 18:05

現実に則した環境でボルボC40リチャージ・ツインに試乗。モデルの存在意義、インフラの現在に着目します。

ボルボ初EV C40リチャージ

2030年までに、全ての新車をEV化すると表明したボルボが、初めてのEV車ボルボC40リチャージの国内発売開始を昨年11月18日に発表した。

既にこのクルマの詳細なインプレッションや解析については、本国、英国のAUTOCAR編集部のロードテストで行っており、それを日本でも公開しているので、ここでは、実際に日本国内の現在の充電環境においての使用レポートを中心に報告をしたい。

ボルボC40リチャージ・ツイン。今回のテスト期間は2週間。走行距離の合計は635km。1回の急速充電と4回の普通充電を行っている。
ボルボC40リチャージ・ツイン。今回のテスト期間は2週間。走行距離の合計は635km。1回の急速充電と4回の普通充電を行っている。    戎大介

まずは、試乗を行ったC40リチャージ・ツインの仕様を紹介しよう。

外観の写真からもわかるように、クーペスタイルのSUVで、ボディサイズは全長:4440×全幅:1875×全高:1595mmで、XC40とほぼ同等のサイズである。

ところが、クーペでリア部分が傾斜していることと、フロントグリルが無いので、かなりイメ―ジは異なり、全体にスタイリッシュな印象だ。

EV化のため大きく異なるのは車重で、嵩張るバッテリーを搭載しているため2160kgにもなり、通常のXC40よりも500kgあまりも重い。

しかし、前後に2基搭載されたモーターの出力は300kW(408PS)、67.3kg-m(660Nm)、定格出力は160kWと強力であり、この重量増をカバーして余りある。

バッテリー容量は78kwhでこのクラスとしては大きい。因みに理論上の一充電走行距離は485kmとうたわれているので、電費は6.22km/kWhという事になる。

車両本体価格は719万円であり、試乗車はメタリック・ペイントとドライブレコーダーをオプションで装着していたので、その価格8万9650円が加わり、総計736万4650円(税込み)となる。

この価格はコンパクトSUVとしてはかなり高額で、あえてこのクルマを購入しようとするには、それなりの動機付けが必要だと思う。

無論、これに国の補助金65万円が支給され、追加で各自治体の補助金もあるので、実際はかなりディスカウントされるが、それぞれの自治体により数値は異なっている。

試乗車の塗色は、いかにも北欧らしいフィヨルドブルー・メタリックであり、これに組み合わせられる内装はチャコール・グレーで、ダッシュ部分は、夜間の光で木目調の茶色が浮き出てくる仕掛けになっている。

また、最近のお決まりで、シートの素材はレザーフリー、カーペットも再生材を使用している。

635km 1回の急速 4回の普通充電

さて、C40リチャージ・ツインが編集部にやってきたのは、連休前の4月28日の事である。この日から2週間にわたり、日常の足として使用をしてみた。

走行距離の合計は635kmとなり、この間1回の急速充電と4回の普通充電を行っている。

ドアを開けて乗り込んだだけでオンとなり、シフトをDかRにすれば、すぐに走り出せる。降りる際もP(パーキング)を押し、社外に出るのみ。
ドアを開けて乗り込んだだけでオンとなり、シフトをDかRにすれば、すぐに走り出せる。降りる際もP(パーキング)を押し、社外に出るのみ。    戎大介

スペック表には普通充電でAC200V、11kWまで対応、急速充電で150kWまで対応可能と書いてあるが、カタログなどで推奨する自宅の充電装置は3kWと6kWしかなく、また、急速充電も50kWが一般的で、150kWの充電器は現状の日本では無いに等しいから、現実はカタログよりもずっと厳しいと思われた。

5月4日までは、都内を少し走っただけであったが、ドアを開けて乗り込んだだけでオンとなり、シフトをDかRにすれば、すぐに走り出せるキーレスシステムは、慣れるととても便利だ。

クーペボディのため、ルームミラーの視認性は良くないが、その分、ドアミラーとコンソールのバードアイ・ビューが有効で、狭いところの駐車などは、非常に楽である。

操舵力の軽いステアリングは、路面のフィードバックがやや少ないが、取り回しに苦はない。

5月4日に初めての充電を行ってみた。この時の走行距離は54km、バッテリー残量73%であったが、自宅にあるポルシェタイカンのために設置した8kWの充電器をセットしてみると、全く問題なく充電可能で、3時間32分で充電完了となった。この時の走行可能距離は380kmであった。

カタログ上の走行可能距離は485kmなので、かなり少ない。実際、ダッシュに表示される100kmあたりの消費電力も23-25kwhであるから、スペック表に出ている高速道路での平均20.5kWhよりも多く、エアコンなどの消費電力はかなり負担になっている訳だ。

このC40リチャージ・ツインは、都内或いは近郊で、毎日40-50km程度を繰り返し使用するには、ストレスもなく操作もシンプルで、EVの新しい世界を実現できていると思う。

記事に関わった人々

  • 執筆

    笹本健次

    Kenji Sasamoto

    1949年生まれ。趣味の出版社ネコ・パブリッシングのファウンダー。2011年9月よりAUTOCAR JAPANの編集長、2024年8月より総編集長を務める。出版業界での長期にわたる豊富な経験を持ち、得意とする分野も自動車のみならず鉄道、モーターサイクルなど多岐にわたる。フェラーリ、ポルシェのファナティックとしても有名。

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