7シーターの中型SUV フォルクスワーゲン・ティグアン・オールスペースへ試乗 満ちるVWらしさ

公開 : 2022.06.11 08:25

コシのある乗り心地と堅実な姿勢制御

2列目シートは前後にスライド可能で、空間にもゆとりがある。パノラミック・サンルーフを装備すると天井が下がるため、身長の高い大人の場合は頭上が窮屈かもしれない。

3列目シートは少々乗り降りしにくく、広さも子供向け。それでも、あれば便利だと感じるユーザーも多いはず。簡単に折りたたむことができ、広大な荷室を作ることも可能だ。

フォルクスワーゲン・ティグアン・オールスペース 2.0TDI 150ライフ(英国仕様)
フォルクスワーゲンティグアン・オールスペース 2.0TDI 150ライフ(英国仕様)

全体として、インテリアには知的な雰囲気があり、このブランドらしい。最新のゴルフなどと比べると保守的に感じられるものの、むしろフォルクスワーゲン的といえるだろう。

ティグアン・オールスペースを発進させてみる。最もお手頃な2.0L 4気筒ディーゼルターボでも、動力性能は充分以上。運転しやすく洗練されている。

ステアリングホイールやペダル類は適度に軽く、反応は正確。とても扱いやすく、操縦性にも優れる。乗り心地は若干硬め。重い荷物やトレーラーの牽引にも対応する足腰だと感じるものの、過度にスポーティということはなく、不快なものでもない。

走り味のキャラクターは、いわゆる中道的なドイツ車。初期のティグアンはやや硬さが目立ったが、現行型では穏やかさを感じる。コシのある乗り心地と堅実な姿勢制御との、バランスが良い。

ブランドの良さが上手く表現されている

2.0L 4気筒ディーゼルエンジンは、回転上昇が若干重く、質感もザラツイている。実務的なユニットといえそうだが、反応は良好で、ゆったりと流すことも難しくない。

右足へ力を込めれば、活発にティグアン・オールスペースの伸ばされたボディを走らせる。郊外に出れば、18km/L近い燃費を得ることも現実的だ。

フォルクスワーゲン・ティグアン・オールスペース 2.0TDI 150ライフ(英国仕様)
フォルクスワーゲン・ティグアン・オールスペース 2.0TDI 150ライフ(英国仕様)

新しくなった運転支援システムだが、レーンキープアシストはライバルより働きが良い。ステアリングへ介入する前に、車線から外れそうな時はモニター式のメーターパネルへ警告が表示される。機能が不要なら、簡単にオフにもできる。

少し過剰気味に、継続的に反応されると、運転をアシストしてくれるように感じられないこともある。ティグアン・オールスペースの一歩引いた制御は、遥かに効果的だと思う。

実用性が拡張され、現実環境でのエネルギー効率にも優れる、ディーゼルエンジンのティグアン・オールスペース。エントリーグレードのライフは価格も手頃で、ファミリーユーザーにとっては訴求力の高い選択肢だといえる。

フォルクスワーゲンらしく、スマートでソリッドで、シンプル。機能的で運転しやすい。ブランドの良さが、上手く表現されたモデルといえそうだ。

フォルクスワーゲン・ティグアン・オールスペース 2.0TDI 150ライフ(英国仕様)のスペック

英国価格:3万5690ポンド(約571万円)
全長:4728mm
全幅:1839mm
全高:1674mm
最高速度:199km/h
0-100km/h加速:9.8秒
燃費:18.9km/L
CO2排出量:140g/km
車両重量:1724kg
パワートレイン:直列4気筒1968ccターボチャージャー
使用燃料:軽油
最高出力:150ps/4000rpm
最大トルク:34.6kg-m/1600-3900rpm
ギアボックス:6速マニュアル

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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