米国人にはウケなかった欧州車 22選 悪いイメージと文化の違いで売れないクルマたち

公開 : 2022.07.24 18:05

欧州で人気でも、米国では全く売れなかったクルマも少なくありません。「欧米」と一口に言っても、その文化は大きく異なります。米国で流行らなかった欧州ブランドのクルマを紹介します。

北米大陸で不発に終わったクルマたち

日本では「欧米」とひとくくりにしてしまいがちな欧州と米国だが、大西洋を隔てた2つの大陸には、それぞれ大きく異なる文化が根付いている。それは、自動車を購入する消費者のニーズや期待も同じ。

このため、北米で製造されたモデルが欧州でヒットする可能性は低く、うまくいくこともあれば、うまくいかないこともあるのだ。その逆もまた然りである。それでもメーカーは挑戦し続けている。

欧州で生まれ(あるいは作られ)、米国に輸出されたが売れなかったクルマを紹介する。
欧州で生まれ(あるいは作られ)、米国に輸出されたが売れなかったクルマを紹介する。

今回は、何らかの理由で米国で「大失敗」を喫した欧州車を、アルファベット順に紹介する。欧州ブランドに限らず、欧州で製造された米国ブランドも対象としている。

欧州と米国の自動車文化の違いを覗いてみよう。

アウディ5000

2代目アウディ5000(欧州では3代目アウディ100に相当)は、本来ならよく売れたはずなのに、「意図しない急加速」と呼ばれる現象で有名になってしまった。NHTSA(米国運輸省道路交通安全局)は、これにはいくつかの原因があると指摘している。

最もよく知られているのは、「北米ドライバーが不注意で無意識のうちに違うペダルを踏んでしまった」というもの。風刺作家のP・J・オローク(1947〜2022年)は、「彼らは……ブレーキではなく、アクセルを踏んでしまったのだ」と述べている。

アウディ5000
アウディ5000

誰が悪いかはともかく、この事件は5000だけでなく、アウディブランドの米国での評判を落とすことになる。アウディの販売台数は1985年の7万4千台強から、1991年には1万3千台弱に激減。数字が完全に回復したのは20世紀末になってからだ。しかし、今日に至るまで、アウディの米国での年間販売台数は、BMW、メルセデス、レクサスよりも少なくなっている。

ビュイック・カスカーダ

カスケーダ(Cascada)は、米国のブランドによって米国で販売されているにもかかわらず、欧州(ポーランド)で製造されていた。当時GMの傘下にあったオペルヴォグゾール、ホールデンからも販売された4シーター・コンバーチブルで、米国では比較的マシな成績を収めたが、それはあまり意味を為さなかった。販売台数は2016年の7153台をピークに年々減少し、生産を断念した2019年にはわずか2535台にまで落ち込んでいた。

ビュイック・カスカーダ
ビュイック・カスカーダ

キャデラック・カテラ

キャデラックは1990年代、若い消費者に響くであろうヨーロピアン・スタイルのクルマを販売すべく、ドイツで生産されていたオペル・オメガをごくわずかに改良したカテラ(Catera)を米国に導入することにした。

しかし、この試みは失敗に終わる。ファッションモデルのシンディ・クロフォードと鳥のアニメを使った奇妙な広告が展開されたが、8年間で9万5千台しか売れていない。同サイズのライバル、レクサスGSに大差をつけられてしまったのだ。

キャデラック・カテラ
キャデラック・カテラ

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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