電気自動車が社用車として人気? 税制優遇により電動化促進 英国

公開 : 2022.07.25 06:25

英国では社用車としてEV(電気自動車)やハイブリッド車が人気を集めています。EVの約半数が社用車として運用される一方、これまで人気の高かったディーゼル車は台数を減らしています。

従業員1人に1台 社用車システムでEV増加

英国運輸省(DfT)の最新データによると、英国内の社用車(カンパニーカー)保有台数は新型コロナウィルス感染拡大前の水準に戻りつつあるが、電動化が進み、ディーゼル車の保有台数は2年前より40%減少している。

英国では、企業が従業員に社用車をあてがい、通勤やプライベートで使用するというシステムが存在する。社用車税制により、特にハイブリッド車やEV(電気自動車)においてはコスト面のメリットが大きい。

昨年英国で最も売れたEVは、テスラ・モデル3だ。
昨年英国で最も売れたEVは、テスラモデル3だ。

2022年1月から3月までの統計によると、国内の社用車保有台数は272万2060台で、世界的な材料・部品の不足による混乱の中、前四半期よりも4万6947台増えている。2021年中に登録された社用車は92万7676台と、2016年の153万4290台より40%も少なかった。

2020年の第1四半期には、国内に285万5093台の社用車があったが、自動車生産台数の減少に加え、仕事と移動の変化が影響し、翌年には20万8495台も減少している。

新型コロナウィルスの流行を経て、数字は回復の兆しを見せている。CO2排出量50g/km以下の車種(主にPHEVやEV)に対する社用車税制の優遇措置が更新されたことで、市場が活性化しているようだ。

EVの社用車税は2025年4月まで定価の2%であるのに対し、ほとんどのガソリン車やディーゼル車は25%以上であり、社用車ドライバーにとって大きな節約となっている。EVの社用車税はこれまで、2014/15年度の0%から2019/20年度に16%に引き上げられた。PHEVと同様の税率であり、インセンティブは限定的なものだった。

現在、EV全体の半分以上(56.0%)が社用車として運用されており、それまで税制優遇率の低下により停滞していた需要を逆転させた。

2020年4月以降、英国のEV社用車の保有台数は4万1285台から24万7000台へと増加した。社用車10台につき1台(9.1%)がEVとなる計算で、中でもテスラ・モデル3は昨年で最も売れた車種となった。また、社用車の4分の1(24.9%)が電動化されており、トヨタカローラなどのストロングハイブリッド車やBMW 330eなどのPHEVが人気を集めている。

最近まで社用車で最も人気のあったディーゼル車は、2015年9月にディーゼル不正問題が発覚して以来、急速に台数を減らしている。 2015年末、英国のディーゼル社用車の台数は184万2672台で、全体の67.8%のシェアを占めていた。それが2020年第1四半期には130万8319台に減少し、その後さらに40%縮小して82万8461台、シェアは30.4%になった。

一方、運輸省によると、全体のほぼ半分(44.6%、121万4460台)がガソリンエンジン車になっているとのことである。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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