ロードスターへ一新した3代目 トヨタMR-S(MR2) 真のドライバーズカー 英国版中古車ガイド

公開 : 2022.08.07 08:25

トヨタらしく信頼性の高いドライバーズカー

欠点を挙げるなら、限定的な実用性。フロントの荷室は、スペアタイヤでほぼ専有されている。シートの後ろに小さな収納空間はあるが、小さな手荷物しか載らない。少なくとも、小物入れは車内の数カ所に存在するけれど。

といっても、2シーターのロードスターとして大きな問題にはならないはず。トヨタ車らしく、信頼性はすこぶる高い。幾つか注意点も存在するものの、お財布へ大きなダメージを与えることなく運転を楽しめる、本物のドライバーズカーだといえる。

トヨタMR-S(3代目MR2/1999〜2007年/英国仕様)
トヨタMR-S(3代目MR2/1999〜2007年/英国仕様)

販売から20年以上が経過しているから、中古車選びのカギはコンディション。慎重に内容を見極めて、これぞという1台を探したいところ。優れたMR-Sを手にすることができれば、素晴らしいカーライフが待っていることだろう。

新車時代のAUTOCARの評価は

確かに実用性は高くない。そのかわり、見事な操縦性を備えた2シーター・モデルだ。運転すれば、素晴らしいことに気が付く。

140psを発揮する1.8Lエンジンは軽快なサウンドを放ちながら、トップギアでも気持ちよく吹け上がる。シフトフィールも滑らかで、運転する楽しさをバックアップしている。ミドシップ・レイアウトが生む秀でた操縦性が、最大の魅力といえる。

トヨタMR-S(3代目MR2/1999〜2007年/英国仕様)
トヨタMR-S(3代目MR2/1999〜2007年/英国仕様)

優れた設計のロードスターへ期待するとおり、ソフトトップも傑作。注意する点としては、濡れた路面で稀に不意を突かれることくらいだろう。(2000年3月29日)

購入時に気をつけたいポイント

エンジン

最大のアキレス腱が、エグゾースト・マニフォールドの1次触媒が破損し、破片がシリンダー内部に混入する可能性があること。ラムダセンサーの警告灯や、エンジンオイルの消費量の変化で、その兆候を疑うことができる。

1次触媒が取り外されていたり、エグゾースト・マニフォールド自体が社外品に交換されていることがある。2次触媒が残っていれば、英国の車検は通過できるはず。

ステアリングとブレーキ

トヨタMR-S(3代目MR2/1999〜2007年/英国仕様)
トヨタMR-S(3代目MR2/1999〜2007年/英国仕様)

ステアリング・ナックルが摩耗すると、操舵感に不自然な手応えが生じる。セフルセンタリング性も悪くなる。

パワーステアリングは、ブラシパックが故障しがち。リア・サスペンションの調整ボルトが固着する場合があるが、トヨタ車専用の工具を使用しない限り交換は難しい。

ブレーキキャリパーとケーブルが固着しがち。燃料タンクを外す必要があり、ケーブルの交換作業には5時間前後は必要。

サスペンション

ダンパーが劣化しても、軽い車重のおかげで気付きにくい。ブッシュ類はへたりやすい。ポリウレタン製のブッシュへ交換するという手もある。

シャシーとホイール

基本的に堅牢だが、リアのサブフレームは錆びやすい。樹脂製のカバーで覆われているため、状況が悪化するまで気付きにくい。

MR-Sのアルミホイールは腐食しやすい。見た目が悪いだけでなく、強度も落ちる。

ソフトトップ

シートの後ろ側が湿っている場合は、ソフトトップの雨水口がふさがっている可能性がある。ボディサイドのエアベントを通じて流れるが、詰まりやすいので確認は忘れずに。毎年掃除しておきたい。

ソフトトップのメカニズムはシンプル。クリップを外し、後ろへ押し倒すだけ。堅牢だが、折りたたまれ方が正しくない場合、リアウインドウやその周辺がヒビ割れすることも。ハードトップが付属するなら、取り付けキットも一緒か確認する。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ピアソン

    Mark Pearson

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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