ロードスターへ一新した3代目 トヨタMR-S(MR2) 真のドライバーズカー 英国版中古車ガイド

公開 : 2022.08.07 08:25

日本ではMR-Sと名前が改められた、3代目MR2。お手頃価格のドライバーズ・ロードスターを、英国編集部がご紹介します。

3代目でロードスターになったミドシップ

手頃な価格で購入できる、優れた操縦性を備えたオープン2シーターのスポーツカーといえば、中古のマツダMX-5(ロードスター)を真っ先に思い浮かべるだろう。ただし、少しありきたり。そこで筆者は、3代目のトヨタMR2をご紹介したい。

日本ではMR-Sとして、1999年から販売がスタート。英国では、2000年から2006年までディーラーに並んでいた。

トヨタMR-S(3代目MR2/1999〜2007年/英国仕様)
トヨタMR-S(3代目MR2/1999〜2007年/英国仕様)

最近は驚くほど手頃な価格で流通しているが、優れた信頼性や燃費など、日本車らしい特長はマツダに共通する。エンジンがミドシップされるのは2代目までと同様だが、3代目では風を直接感じられるオープンボディを獲得した。

ちなみに、トヨタが初代MR2を発売したのが1984年。フィアットX1/9の影響を強く受けたモデルといえ、ミドシップの2シーターで後輪駆動、Tバールーフを備えた、運転の楽しいコンパクト・スポーツだった。

2代目へのモデルチェンジは1990年。ボディは拡大し、ふくよかなカーブを描くスタイリングが特徴といえた。そのぶん車重は増え、初期モデルでは初代で光ったハンドリングのシャープさが薄れていた。

3代目のMR-Sは、それまでとは内容が異なる点が面白い。簡単に開閉できるソフトトップが備わった、小さく軽量なコンバーチブルへ一新していた。

初代MR2より軽量で操縦性は軽快

MR-Sの車重は975kgと、初代MR2より軽い。エンジンはオールアルミのDOHC 1.8L直列4気筒。自然吸気でレスポンスに優れ、高回転域まで滑らかに吹け上がり、140ps/6400rpmの最高出力を発揮した。

0-100km/h加速は7.9秒と、当時としては俊足。優しい見た目とは裏腹でもある。

トヨタMR-S(3代目MR2/1999〜2007年/英国仕様)
トヨタMR-S(3代目MR2/1999〜2007年/英国仕様)

それ以上に最大の魅力といえたのが、軽快な操縦性。パワーアシスト付きのステアリングは軽くクイック。感触も豊かで、コーナーを素早くクリアできるだけでなく、駐車もしやすい。

コーナリングラインの調整が容易な特性を備え、ミドシップの軽快さを日常的に味わえる。ターンインは鋭く、ブレーキも強力。比較的幅の細いタイヤから、不満のないグリップ力も引き出していた。

車内は驚くほど快適に過ごせ、低いドライビングポジションでありながら全方向の視認性も良好。トランスミッションは、前期型で5速マニュアル、後期型で6速マニュアルが搭載された。シフトレバーのストロークは短く、キビキビ変速できる。セミATも選べた。

直線基調のスタイリングは、今でも充分チャーミング。小さなポルシェ550スパイダーのように見えなくもない。

前後の重量配分も素晴らしく、トルセン式のリミテッドスリップ・デフも装備。燃費は13.5km/Lと悪くない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ピアソン

    Mark Pearson

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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